CASE・MaaS時代のサプライチェーン分析…カノラマジャパン 代表取締役 宮尾健氏[インタビュー]

CASE・MaaS時代のサプライチェーン分析…カノラマジャパン 代表取締役 宮尾健氏[インタビュー]
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モビリティカンパニーへ変身を遂げようとするトヨタ自動車の影響は、自動車産業、鉄道やその他のモビリティへと余波が及んでいる。特にトヨタ系列の会社は、その対応に追われているようだ。

次世代モビリティの市場は今後どうなるのか。CASE戦略とMaaSの動向に着眼点を置きながら、自動車産業のサプライチェーンの調査分析などを強みとするグローバル独立系自動車産業コンサルティングファーム 「CARNORAMA (カノラマ)」のパートナー&日本法人の「カノラマジャパン」 代表取締役の宮尾健氏に聞いた。

同社は毎年、自動車産業の市場展望などについてレポートを発行している。 最新版は、2020年2月10日発刊「次世代モビリティの世界市場展望2020-2050~CASE戦略とMaaSの動向~」だ。

宮尾氏は、 3月25日開催セミナー「CASE・MaaSの最前線」に登壇し、次世代モビリティの将来像について講演する。セミナーはオンラインでも開催する。

高まるサプライチェーンの分析

---:カノラマジャパンは、サプライチェーンの調査分析などに強みとされていますが、その点についてもう少しお聞かせいただけますでしょうか。

宮尾氏:カノラマジャパンは、自動車産業を部品レベルまで分解し、そのサプライチェーンを分析することを強みにしています。

サプライチェーンの見える化は、東日本大震災をきっかけに、ここ約10年で重要性が増してきています。

---:デジタルトランスフォーメーションやCASE・MaaSにおいては、サプライチェーンが変わると言われていますから、さらに需要が増しそうですね。

宮尾氏:主な取引先に、自動車メーカー、自動車部品サプライヤー、電子部品、デバイスサプライヤー、材料メーカー、物流の会社があります。また、ロンドン、上海、デトロイト、バンコクに弊社のネットワークがあります。

CASEとMaaSとスマートシティの変遷

----:毎年調査レポートを発行されて感じる最近の傾向は?

宮尾氏:CASEだけでは足りず、MaaSへと拡大し、スマートシティへと、自動車メーカーがカバーしようとしている領域が広がっていていることです。

また弊社の調査レポートを求める業界の方のみならず、移動手段全般、そして不動産など多種多様になってきています。

---:CASE、MaaS、スマートシティの変遷はどのように整理しますか?

2017年にダイムラーが使った「CASE」が、各社が戦略を立てる際のキーワードになっているように一般化しました。CASEはまさに自動車産業のビジネス環境の変化を実によく表していたわけです。

CASEは、自動車産業”のみ”を表現したワードです。シェア&サービスの 「S」 を考えるようになると、いよいよ自動車以外の移動手段も念頭に置く必要が出てきたわけです。

そこで、鉄道、バス、タクシー、自転車シェア、電動キックボードなど 、自動車以外のさまざまな移動手段をつないで、ワンストップサービスとして提供する「MaaS」に対して自動車メーカーも注目するようになりました。

さらには、サービスを提供するということを越えて、都市を丸ごと作る「スマートシティ」へと発展してきています。

---:CESでトヨタが、2018年発表したMaaS専用車両e-Palletコンセプト、2020年に発表したコネクテッド・シティプロジェクト「Woven City(ウーブンシティ)」はまさにこの流れですね。

産業ピラミッドの頂点の座

---:自動車メーカーが死守したいことは何ですか?

CASE・MaaS時代に、自動車メーカーが何としても死守したいことは、 産業ピラミッドの頂点の座です。何もしなければ、ライドシェアなどの新たなプラットフォーマーやインターネット業界の企業に、産業ピラミッドの頂点を奪われ、自動車メーカーが下請けになるような構造になってしまいます。産業ピラミッドの頂点に立つ可能性がある企業への対策や協業に、自動車メーカーは躍起になっています。

その一つの表れとして出てきているのがトヨタとソフトバンクが、対等な立場で合弁会社を立ち上げたことです。ソフトバンクは、 ウーバー、ディディ、グラブなどのライドシェアの筆頭株主でもあり、トヨタとしては無視できない存在となってきました。

減点より、創造を

---:自動車部品メーカーなどはどのようにこの過渡期を乗り越えればよいでしょうか。

宮尾氏:「ネガティブに捉える必要はない」と自動車部品メーカーにエールを送りたいと思っています。CASE時代には、エンジン車の延長では足りない部品がたくさんあります。

エンジン車からEV車という発想ではなく、ゼロからEV車を作っていく必要があるでしょう。バッテリーはエンジンと異なる温度管理が必要になるなど、エンジン車と異なる技術や部品が必要になります。

ゴールドマンサックスグローバルインベストメントリサーチによると、 ADAS・自動運転市場は、 2020年では3兆円ですが、2035年には30兆円に成長します。このような速度で成長する市場は非常に珍しいと言われています。

CASE時代では、 エンジン部品の点数が減点るため売上が減少するという発想ではなく、新たにどのような部品が必要になるのかといった創造的な発想で取組むと、見える世界が違ってくるかと思います。

宮尾氏が登壇する3月25日開催セミナー「CASE・MaaSの最前線」はこちらから(オンラインセミナーも)。

《楠田悦子》

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