中国自動車市場は更なるユーザビリティ車両へ進化…中国モビリティ研究者 八杉理氏[インタビュー]

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  • 中国自動車市場の2026~2030年目標・見通しと中国車の最新動向:Auto China(北京MS)の予習ポイント セミナー資料
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来たる3月17日、オンラインセミナー「中国自動車市場の2026~2030年目標・見通しと中国車の最新動向:Auto China(北京MS)の予習ポイント」が開催される。登壇するのは、中国モビリティ研究者である株式会社現代文化研究所 上席主任研究員の八杉理氏。

まず、世界第1位の自動車生産・販売国である中国市場をどのように捉えるべきか、そして、中国を起源として自動車業界の次なるフェーズにどのように突入してくるのかを課題意識とし、中国市場の最新動向やHMIのトレンド、日系自動車メーカーおよびサプライヤーが生き残るための次期戦略について、八杉氏に聞いた。

中国市場は「消耗戦」ではなく、「安定成長の変革期」に入る

中国自動車市場の実績として、2025年に生産・販売ともに3400万台規模に達し、17年連続で世界第1位の販売を実現している。新エネルギー車の販売拡大とともに、2025年には海外輸出が前年比21.1%増の709万8000台と著しい伸びを示した。

この実績をもとに、今年はどのような見方をしているかを八杉氏に聞くと、日本における報道の偏りを次のように指摘した。

「日本のメディアを見ていると、現在の中国市場は『消耗戦』であるという表現が多く見受けられますが、中国現地ではそのようなことはほとんど語られていません。今年は消耗戦ではなく、むしろ安定成長期に入ったと言えます。マクロ的な数字上の急成長こそないかもしれませんが、中国の主要メーカーは新しい技術を開発し、真っ当にしのぎを削る車両開発の競争状況になっています」

中国自動車市場の2026~2030年目標・見通しと中国車の最新動向:Auto China(北京MS)の予習ポイント セミナー資料

一方、目覚ましい伸びを見せた輸出についても、2026年以降は前年ほどの爆発的な拡大は期待しにくいという。これには明確な理由がある。

「2025年に輸出が大きく伸びた背景には、ASEANや中南米などにおける中国メーカーの生産拠点の新設がほぼ整い、現行の中国車のグローバルモデルの現地生産、ノックダウンを含めて一気に立ち上がった年であった。主流の中国メーカーだけでなく、新興の小鵬汽車や出遅れた東風汽車なども進出して着実に足場を築きました。しかし、今年は海外で昨年ほど新しいプラントが一斉に稼働し、新型車が続々と登場するわけではありません」

また、中長期的にも、魅力的な中国車として振舞うことができない進出先国・地域の各種規制も無視できない懸念材料だ。

「中国車の魅力はやはり、新エネルギー車としての新たなモビリティであること、車内ではソフトウェアが多彩で、使い手を重視したHMI(Human Machine Interface)が進化しており、居心地の良い車室内空間をリーズナブルに実現していることにある。そうした中で、先日、米国は中国独自のOSを搭載した車両を輸入しない方針を示し、人権や個人情報の管理に敏感な欧州でも参入障壁が高い。中国車ならではの強みである独自OSを持たないEVに限られるということになれば、その魅力は半減してしまいます。この点は、今後の輸出の伸びを考える上で一つの懸念材料となるでしょう」

2026年から始まる2030年までの新5カ年計画目標とそのプレーヤー

中国市場の中期目標としては、2026年から新5カ年計画が始まることもあり、現地の自動車業界団体は2030年に3800万台、2035年に4000万台規模へと拡大していくと予測されている。この成長エンジンの核となるのがNEV(新エネルギー車・BEV/PHEV/FCEV)であり、2035年には新車販売の7割を占める見通しだ。

中国自動車市場の2026~2030年目標・見通しと中国車の最新動向:Auto China(北京MS)の予習ポイント セミナー資料
中国自動車市場の2026~2030年目標・見通しと中国車の最新動向:Auto China(北京MS)の予習ポイント セミナー資料

つまり、中国の国内市場は「安定成長期」として、これまでのような大きな伸びが見込まれない一方で、輸出をしっかりと伸ばし、新エネルギー車で足場固めをしていくということだ。

「現地専門家と議論していく中で、2030年までの5カ年計画中に総市場は4000万台規模にまで拡大すると予測するシナリオもあるが、いずれも、その成長ペースは安定的だ。新エネルギー車の拡大はその成長を支えるものであり、この期間中、とりわけ、PHEVの商品数がピークを迎える。主要メーカーの将来商品情報を整理すると、ベースとなるBEVの市場に、PHEVの多様な商品群が上乗せされるイメージになるため、市場のボリュームはさらに厚みを増すと考えられています」

中国自動車市場の2026~2030年目標・見通しと中国車の最新動向:Auto China(北京MS)の予習ポイント セミナー資料

こうした市場の広がりを背景に、中国メーカー各社は成長シナリオの中での販売目標を掲げている。BYDは2025年の460万台から、2026年にはさらに約100万台の上積みを狙う。ジーリー(吉利汽車)やチェリー(奇瑞汽車)も、サブブランドの展開や東南アジアへの輸出強化により、それぞれ300万台規模の目標を設定している。

中でも特筆すべきは、ITジャイアントであるファーウェイ(華為技術)を中心とした自動車アライアンス「HIMA(鴻蒙智行)」の躍進である。


《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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