軽自動車でもアウトドアを楽しめるか? 三菱 eKクロス でデイキャンプに出かけてみた

三菱 eKクロス(モデル左から:岩村祥司、田中直明)
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激戦区、軽自動車市場に新たに導入された三菱自動車の新モデルが、4代目『eKワゴン』をベースとしたクロスオーバー『eKクロス』である。現在、三菱自動車は「SUV」と「電動化」が柱となっているが、eKクロスにもその知見やノウハウが小さいボディにギューッと凝縮されている。そこで今回はその魅力をチェックするためにショートトリップに出てみることにした。

国内新車販売に占める軽自動車の割合は年々増加しており、現在は40%近くに達している。これまで経済性や税金の安さなどで選ばれていたが、最近は商品力の高さから「指名買い」されるケースも多いそうだ。登録車は世界戦略車として開発されるケースが多く、販売ボリュームが高い仕向地に合わせて開発されるのに対して、軽自動車は「日本のため」に開発されるため、筆者はユーザーニーズに的確な商品企画ができていることも好調の要因の一つだと思っている。

軽自動車の価格はかつて「コミコミ100万円以内」と言うイメージが強かったが、今や車両本体価格が200万円近いモデルも存在する。そういう意味では、コンパクトクラスの登録車との逆転現象も起きているのも事実だが、それでも売れているのはユーザーにとって「高くても欲しい」と思わせる魅力があると言うことだ。

精悍さとカジュアルさが魅力のデザイン

eKクロスのターゲットカスタマーは「日常から一歩踏み出し、アクティブに冒険してみたい人」だという。そこで今回の旅のテーマは「軽自動車でアウトドアを楽しめるか?」。目的地は都心から約2時間と言うアクセスの良さとキャンプ初心者でも安心の充実した施設が魅力の埼玉県秩父市にあるキャンプ場「スプラッシュガーデン秩父」をセレクト。季節的にもぴったりの、デイキャンプを楽しむことにした。

取材当日、編集部近くの駐車場でeKクロスと対面。軽ハイトワゴンはパッケージ優先の弊害でデザインにかけられる予算が少なく、結果的にどれも似たりよったりのデザインになりがちだが、eKクロスは『デリカD:5』譲りの「ダイナミックシールド」採用のフロントマスク、ロングホイールベースを活かしたキャビンシルエットに加えてホイールアーチにはクラッディング風のステッカーとルーフレール(オプション)によりSUVらしさを強調したサイド、そして安定感シッカリ感を高めたリアと、一目で「三菱の軽」と解るデザインである。三菱のSUVはアウトドアが似合うが、軽SUVのeKクロスも負けず劣らず。個人的にはデリカD:5の精悍さと軽自動車のカジュアルさが上手にバランスされていると思う。

ちなみに軽自動車ユーザーの購入重視点の1位はボディカラーだが、その辺りも抜かりなし。6色のモノトーンに加えて5通りの2トーンカラーを設定。今回の試乗車のサンドイエローメタリック/ホワイトソリッドはよりSUVらしさを強調させる一方で、ナチュラルアイボリーメタリック/サンシャインオレンジメタリックは脱日本車的でシックな雰囲気とボディカラーによっても様々な顔を見せる。

インテリアは奇を衒わず水平基調でシンプルながら立体感を演出したインパネ周りと下手なコンパクトカー顔負けの質感の高さが魅力だ。特にカラフルストライプパターン/タンカラー(合成革皮)の組み合わせの「プレミアムインテリアパッケージ」(オプション)は日本車離れしたコーディネイトである。また、先代よりも使いやすくなっているタッチパネル式のエアコンパネルや充実した収納スペースなど機能性も高い。その中でも助手席ドアトリムの車検証入れはナイスアイデアだと思う。取り外して水洗いができる「オールウェザーマット」(ディーラーオプション)も使い勝手がよく、アウトドアや悪天候時の強い味方だ。

高速道路でも力強く余裕のある走りを披露

編集部のある新宿からスタート。一般道から関越道に向かう。今回の試乗車は全面新設計された直列3気筒ターボ(64ps/100Nm)+モーター(2.7ps/40Nm)を組み合わせたハイブリッドを搭載するが、まず、全域で動力性能に余裕があることにビックリ。従来モデルはターボでも足りず「軽自動車の排気量は上げたほうがいい」と思うことも多々あったが、新型はアクセル開度1/3くらいで交通の流れをリードできるくらいの力強さで、「これなら660ccでいいかも」と思ったくらい。今回は走行していないが、高速道路の120km/h区間も余裕を持って走れるだろう。

ちなみにハイブリッドであることは正直体感できないが、アクセルを踏んだ瞬間に小排気量ターボにありがちな過給遅れを感じないのはモーターアシストの効果も大きいはず。また、静粛性の高さ、振動の少なさもポイントで、高速道路での巡航中(100km/hでエンジン回転数は2800rpmくらい)はオーディオのボリュームを上げる必要がないレベル。加速中はエンジン音がそれなりに聞こえるが、音質がクリアなので不快には感じなかった。

フットワークは実用域から高速道路までバランスよいセットアップだ。アシストは軽めながら素直なステアフィール、ゆったりしたロールをシッカリと抑えるボディコントロール、路面をシッカリ捉える安心感と奇を狙わず“直球勝負”の走りが魅力である。ボディ剛性の最適化やロングホイールベース化も相まって直進安定性も高い。乗り心地はタウンスピードでは硬さを感じる人もいるようだが、筆者はむしろドイツ車的なカチッとした乗り味で好感が持てた。また地味な部分になるが、長時間乗っていても疲れにくいシートや小柄の人でも踏込やすいペダル角度、さらには操作しやすいシフトレバーなど、ドライビング環境をシッカリと整えたことも評価したいところである。

運転支援機能「MI-PILOT」と4WD性能で安心のドライブ

今回、eKクロスには三菱車初の全車速追従クルーズコントロールと車線維持支援機能を備える「MI-PILOT」をオプション設定。多くの人は快適装備だと勘違いしているようだが、筆者はドライバーの疲労を軽減させる安全装備の一つだと認識している。目となるセンサーには単眼カメラを用いるが、同じシステムを搭載する他社の登録車よりも制御の緻密さは上である。運転支援デバイスの良し悪しは制御技術の進化だけでなく車両の基本性能も大きく左右する。こんなことからもeKクロスの基本性能の高さがわかると思う。

関越道を降り、スプラッシュガーデン秩父に行く前にこれからが見頃の「天空のポピー」も訪れた。勾配の厳しい山坂道も走ったのだが、グイグイと力強く登る余裕の走りはもちろん、ハンドリングは見た目以上に骨太でスポーティな走りを見せた。今回の試乗車はフルタイム4WDで、ビスカスカップリングを採用するオンデマンド方式と三菱車の中ではシンプルなシステムを採用しているが、その制御には三菱のAWC(オール・ホイール・コントロール)技術のノウハウや知見が盛り込まれていることがほとんど知られていないのが残念である。

さらに滑りやすい道での発進をサポートする「グリップコンロール」も用意。もちろん最低地上高は155mmなので本格的なオフロード走行は厳しいものの、走るステージが広がるのは嬉しいポイントと言えるだろう。キャンプ場での未舗装路もスムーズに走行できた。

アウトドアグッズも難なく積み込める荷室の広さ

軽自動車の限られた寸法の中でのパッケージング…という制約がありつつも、eKクロスはエンジンルームを圧縮することでフロントタイヤの位置を前進させてホイールベースを65mm拡大させているが、そのほとんどが室内長の拡大に使われている。リアシートを一番後ろにスライドさせた状態では下手なプレミアムセダン顔負けの足元スペース、逆にリアシートを一番前にスライドさせると540mmの荷室長とコンパクトカー並みのスペースを確保。ちなみにシートスライドは荷室側から片手でワンアクション操作が可能なのもポイントである。

最近のキャンプ場はレンタル品も充実しているので、大物のタープは借りることにした。それでもチェアやミニテーブル、ラグ、アウトドアワゴンなどかなりの量の荷物を何なく飲みこんでしまったことにビックリ!! これなら軽自動車といっても十分にアウトドアを満喫できる。今回はシートバックよりも高い位置まで荷物を載せなかったので問題なかったが、たくさん積んだ時もデジタルルームミラー(オプション)を活用すれば後方視界も悪化しないので安心だ。

ちなみに燃費は一般道~高速道路~山坂道と交通の流れに沿って走行して17.9km/L、高速道路では20km/L越えも記録した。ちなみにWLTCモードは16.8km/Lなので実燃費の良さも確認できた。

そろそろ結論に行こう。今回の旅のテーマ「軽自動車でアウトドアを楽しめるか?」は間違いなく「YES」である。ただし、eKクロスの場合は、見た目、走り、ユーティリティなど含めて「何も我慢せずに」という言葉を付け加えたい。クルマの内容的には「軽自動車とSUVのクロスオーバー」と言っていいと思う。

<機材協力:Coleman(コールマン)>

三菱 eKクロスのウェブページはこちら

《山本シンヤ》

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