近畿圏空港アクセス鉄道を調査…阪急-関空直結の「なにわ筋連絡線」が有望 国交省

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近畿圏空港アクセス整備で検討された4路線の概略。「西梅田・十三連絡線」は関空との直結性が薄く、「なにわ筋連絡線」と「なにわ筋線」のルートが利便性や採算性で有利とされている。
  • 近畿圏空港アクセス整備で検討された4路線の概略。「西梅田・十三連絡線」は関空との直結性が薄く、「なにわ筋連絡線」と「なにわ筋線」のルートが利便性や採算性で有利とされている。
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国土交通省は4月11日、「近畿圏における空港アクセス鉄道ネットワーク」に関する調査・検討結果を公表した。

これは、近畿圏で人口減少が進む一方で、訪れる外国人観光客が増加し、関西国際空港(関空)の利用者が増加しているという近年の傾向を踏まえて、昨年7月に設置された「近畿圏における空港アクセスネットワークに関する検討会」で、現在、近畿圏で構想・計画されている4路線の、空港アクセスにおける整備効果を調査・検討したもの。

近畿圏では、昨年5月、大阪府・大阪市・JR西日本・南海電気鉄道(南海)・阪急電鉄(阪急)の5者が、大阪市中心部から関空への鉄道輸送強化を図るための新線「なにわ筋線」の整備を、上下分離方式で進めていくことを表明している。

なにわ筋線は、新大阪から北梅田(仮称)を経由して、難波や新今宮を結ぶ路線として計画されており、北梅田~西本町間はJR西日本と南海2者の共同営業区間とされている。西本町から南は営業区間が分かれ、JRはJR難波まで、南海は新難波を経て新今宮へ至る。

この「なにわ筋線」に対して、検討会では「地方自治体や鉄道事業者等の関係者による協議が進捗し、関連する複数の事業構想も提起」されているとして、同線とつながる「なにわ筋連絡線」(北梅田~十三間約2.5km)、「新大阪連絡線」(十三~新大阪間約2.1km)、「西梅田・十三連絡線」(西梅田~十三間約2.9km)の、関空アクセスにおける整備効果を調査・検討した。

合わせて、大阪空港アクセスで期待される、阪急宝塚線の曽根駅と大阪国際空港を結ぶ「大阪空港線」も対象としているが、その結果、「大阪空港線」以外は費用便益比と収支採算性はおおむね良好とされた。

*費用便益比=衆参両議院の国土交通委員会によると「事業に要した費用の総計に対する事業から発生した便益の総計の比率」のことで、その値が1以上の場合は、総便益が総費用より大きな事業とされる。

「大阪空港線」に関しては、向こう40年間で黒字転換する可能性は低いが、費用便益比は良好で、採算性向上策の検討が必要であるとされた。

「なにわ筋連絡線」や「新大阪連絡線」については、「なにわ筋線」の輸送人員増や列車増発につながる相乗効果があり、両線の同時整備でも費用便益比と収支採算性はおおむね良好とされた。

一方、「なにわ筋連絡線」の大半と競合する「西梅田・十三連絡線」については、収支採算性は一番高いものの、「なにわ筋連絡線」よりは費用便益比が低く、「なにわ筋線」の輸送人員減少にもつながるとしており、阪急沿線地域と関空を結ぶ路線としては「なにわ筋連絡線」が空港との直結性では有利で、近畿圏の空港アクセスネットワークの強化にもつながるという結論に達している。

検討会では、今後の事業化に際しては、この調査・検討結果を参考にしつつ、「整備により便益を享受する地域の地方自治体が、連携して関係の鉄道事業者等との調整を進め、建設事業費の精度向上、建設スケジュール、建設工事における導入空間の確保等の建設計画や、既存区間も含めた運行計画、整備主体の検討など、構想の検討を深度化することが期待される」と述べている。
《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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