ライバルはCX-5か、エクストレイルか…日本市場復活のホンダ CR-V、その実力は

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日本市場に復活するホンダCR-V。プロトタイプに豪雪の鷹栖試験場で試乗した
  • 日本市場に復活するホンダCR-V。プロトタイプに豪雪の鷹栖試験場で試乗した
  • ホンダ CR-V 新型プロトタイプ(欧州仕様)
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  • 岡本幸一郎氏とホンダ ヴェゼル
  • ホンダ ヴェゼル
  • リアルタイムAWDイメージ(画像はヴェゼル)
  • ホンダ ヴェゼル
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ホンダは4WDシステムとして車種や車格に合わせて3タイプを用意している。このうち『NSX』と『レジェンド』に搭載される「スポーツハイブリッドSH-AWD」は別格として、汎用では軽自動車やコンパクトカー向けのビスカスカプリング式4WDと、中型車やSUV、ミニバン向けの「リアルタイムAWD」がある。それらの実力を体感するための雪上試乗会が、北海道の鷹栖にあるホンダのテストコースで開催された。

おりしも今回はリアルタイムAWDが新しい制御に進化したばかりのタイミング。会場に用意されていた試乗車では、2月にマイナーチェンジした『ヴェゼル』と、すでに北米や中国で大人気で、日本にも年内の導入が予定されている『CR-V』に、件の新しいシステムが搭載されていた。いずれもハイブリッドで、ヴェゼルは1モーターの「スポーツハイブリッドi-DCD」、CR-Vはより高性能な2モーターの「スポーツハイブリッドi-MMD」となる。こうした本格的ハイブリッドと性能の高い4WDの組み合わせが比較的選びやすい設定となっているのもホンダならではの強みだ。

◆リアルタイムAWDの進化と、走りのキャラクター

リアルタイムAWDがどのように進化したのかを具体的にお伝えすると、これまではアクセル開度やギア段をもとに駆動力配分を決定するとともに、車輪速や前後横G等からタイヤの空転や旋回、登降坂といった車両の状態を検知し、駆動力配分量をあらかじめ設定した値で補正していた。それに対して新しい制御では、従来の制御にステアリング角度とヨーレートをパラメータに加え、フィードバック制御することで駆動力を最適に配分するようになった。いわばCPUの中で常に理想的な車両の走行状態を描いていて、それに対してズレた部分に瞬時に補正をかけることで、ドライバーの意思に忠実な走りを実現できるというわけだ。

そうした、まさしく「リアルタイムAWD」として相応しい進化を遂げたヴェゼルとCR-Vをいざドライブしてみると、滑りやすい路面でもライントレース性が高く、いたって乗りやすい点ではいずれも共通していた。その上でCR-Vは、さらに感心する点が多々あった。なお、CR-Vは、まもなく導入予定の欧州仕様のプロトタイプであり、日本向けもほぼ同じ仕様になるという。

マイナーチェンジによりヴェゼルもトルク感が増してドライバビリティが向上しているが、アクセル操作に対する応答性は、やはりi-MMDのCR-Vのほうがさらに高い。コーナリングにおいてもCR-Vは、よりオン・ザ・レール感が高く、前へ前へと進もうとする感覚が強い。VSAの許容範囲も広く、ドライバーがコントロールできる余地が大きいので、カウンターステアを維持した走り方もできる。おかげでドライブしていて楽しい。
ホンダ ヴェゼル
開発関係者によると、走りのキャラクターもヴェセルよりも格上であることが感じられるよう差別化を図り、上質さを追求するとともに、軽快なハンドリングとトラクションの向上に注力したとのこと。それには現行『シビック』ゆずりのリアマルチリンクサスも一役買っているが、4WDの味付けにおいてもそれを意識したという。

また、従来の制御のリアルタイムAWDを搭載した試乗車と乗り比べることもできたのだが、違いは明白だった。従来の制御でも走破性自体は十分に高いものの、まずライントレース性が違う。従来の制御は旋回初期にアンダーステアが出やすく、いわば多角形コーナリングになりがち。さらにはアクセルを踏むと、それがより顕著に出るので、どうしても立ち上がりで加速できるタイミングが遅くなる傾向が見受けられるところが、新しい制御ではそれが上手く払拭されていることをあらためて確認できた。

◆ライバルはCX-5か、エクストレイルか、はたまたヴェゼルなのか

ライバルを見わたすと、たとえばヨーレートセンサーを使っていないマツダの「i-ACTIV AWD」を搭載する『CX-5』も、同じく予期せぬアンダーステアを感じる状況はなくはない。ただし、マツダには「G-ベクタリングコントロール」という武器があり、雪上での実力は侮れない。あるいは「インテリジェント4×4」に加えて独自の高度なシャシー制御技術を備えた日産『エクストレイル』は、操縦安定性ではピカイチ。半面、動力性能が物足らず、安定性は高いものの操る楽しさではCR-Vにはおよばない、といったところだろうか。

また、システム自体の特徴として、電子制御クラッチの契合に一般的なソレノイドではなく、より軽量コンパクトにできる油圧を用いていることが強みとして挙げられる。軽さと小型化はホンダが何ごとにおいてもこだわる部分でもある。

そう遠くないうちに日本にも導入予定のCR-Vだが、日本にはコンパクトなサイズやリーズナブルな価格設定など高い商品力を誇る出来のよい弟分のヴェゼルが存在し、その影響を少なからず受けることになるのは想像にかたくない。とはいえ、内外装の仕立てやドライブフィールの上質さではCR-Vが圧倒的に上回るのは事実。海外で大ヒット中というのもうなずける。そして雪上で見せた走りにおいても、「どちらも良い」中でも少なからず違いがあったことを、最後にあらためてお伝えしておこう。

岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年、富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報映像の制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして活動。幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級セダンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに多方面に鋭意執筆中。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
《岡本幸一郎》

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