【新聞ウォッチ】トヨタとパナソニック協業、豊田社長「津賀社長と佐吉記念館で出会ったときから必然」

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トヨタとパナソニックとの協業調印式(12月13日)
  • トヨタとパナソニックとの協業調印式(12月13日)

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2017年12月14日付

●独禁当局審査焦点に、メモリ売却、東芝とWD和解(読売・1面)

●トヨタ半数を電動車に、30年頃目標、EV・HVなど550万台(読売・2面)

●トヨタとパナEV提携、車載用電池開発、合従連合進む可能性(読売・6面)

●「佐川」6102億円上場、時価総額、今年最大(読売・6面)

●のぞみ亀裂走行中発生か、前日点検では異常なし(朝日・38面)

●日産・東電がEV実証実験、再生エネ余れば蓄積(毎日・7面)

●日立、東南アの開拓加速、21年度売上高7000億円狙う(日経・14面)

●セルフ給油所頭打ち、ガソリン需要減、出店余力乏しく(日経・27面)

●アクアライン20年、「通行料800円」存続綱渡り(日経・39面)

ひとくちコメント

「津賀社長と、佐吉記念館で出会ったときからこうなることは必然であったのではないかという気がした」。トヨタ自動車の豊田章男社長は、パナソニックと電気自動車の基幹部品となる電池の共同開発などを検討すると発表した記者会見で、こう明かした。

静岡県湖西市にある「豊田佐吉記念館」にパナの津賀一宏社長を招いたのは4年前の2013年。津賀氏が社長に就任して1年後のことだったという。また、会見で豊田社長は、豊田佐吉氏が草創期の1925年、当時、100万円の懸賞金をかけて、蓄電池の開発を奨励。100馬力で36時間運転を持続する「佐吉電池」の開発に成功し「佐吉は、今日のような『電動化時代の到来』をすでに予感していたのかもしれない」とのエピソードも披露した。

豊田、津賀両氏の関係は、2年前、豊田社長が東京五輪・パラリンピック組織委員会の副会長を突如辞任したことで、その後任を津賀社長が引き継いだという縁もある。

それはともかくとして、きょうの各紙は「トヨタ EVで巨人連合」(日経)のほか、「トヨタとパナEV提携、合従連衡進む可能性」(朝日)や「トヨタ、パナと次世代電池事業提携、異業種タッグEV加速」(東京)などの見出しがおどる。

もっとも、豊田社長が、2030年をめどに年間の販売台数の半分にあたる550万台を電気自動車などの電動車にする方針を明らかにしたことに各紙が注目。「トヨタ半数を電動車に」(読売)や「トヨタ販売5割、電動車に30年めど550万台」(朝日)などと、具体的な数値目標を打ち出したタイトルも目立つ。

ただ、「かつて慎重だったEVも含め、電動車の抜本的な強化に踏み込む」(朝日)とか「EVで市販車投入が遅れており、“自前主義”を捨て、パナソニックとの協業でばん回を目指す」(産経)などと、いかにもトヨタがEV開発で周回遅れのようなことを強調する記事も目に付く。

2030年といえば、あと10年以上先のことだが、それでも数値目標は、燃料電池車を含めてもEVは100万台。トヨタの世界販売からすれば10分の1以下とみられる。その時点でもお家芸のハイブリッド車が主力車種にかわりはなく、メディアが大騒ぎするほどでもないとも思えるが……。

《福田俊之》

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