【ボルボ XC90 T5 試乗】これがホントの最新ボルボの味わい…中村孝仁

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ボルボ XC90 T5
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去に『XC90』はデビュー当時最上級だった「T6」、そして追加投入されたハイブリッドの「T8」に試乗した。そして今回乗るのは素のXC90ともいえる「T5」である。

素と言ってもオーバー700万円のクルマだから、決して安いクルマではない。T6やT8と比較すると何が違うのかというと、装備の差はともかくとしてエンジンパフォーマンスである。

ハイブリッドのT8と、T6はガソリンエンジンに関しては同じで2リットル4気筒にターボとスーパーチャージャーを備えたツインチャージャーを装備し、最高出力320psと最大トルク400Nmを発揮する。T8の場合、これにハイブリッド用のモーターが加わるから、単純な足し算のシステム総出力は400ps、最大トルク640Nmになる。

一方今回試乗したT5は同じ2リットル4気筒だが、スーパーチャージャー無し。ターボのみの過給となり、出力は254ps、トルク350Nmである。いずれのモデルも4WDのみで、FWD車の設定はない。車重はバッテリーとモーターを積むT8が飛び抜けて240kgほどT6より重いことを除けば、T5とT6差はたったの20kgでしかなく、エンジン性能差はそのままパフォーマンスの差となって表れる。しかし、今回T5に乗って思ったことは、これで十分だよな…ということ。いつでも余裕のよっちゃんで走りたい向きにはT6が良いのだろうが、まずは性能面でそれほど大きな差はない、というのが実感であった。

だが、今回最も注目した点はサスペンションである。XC90には全てのモデルにオプションでエアサスの設定があり、過去に乗ったT6とT8にはこのエアサスが装備されていたのである。本来のモデルはフロントがダブルウィッシュボーン、リアにはマルチリンクで、そのリアのスプリングは通常のコイルスプリングではなく、樹脂製のリーフスプリングが横置きに装備されている。

リーフスプリングと聞いて、もしかしたら顔をしかめる人がいるかもしれないが、リーフスプリングを採用することによるメリットも決して小さくない。とにかくコンパクトに出来、余計な突起が出っ張らないのでラゲッジスペースも稼げる等々あるわけで、将来的にリアサスペンション回りにモーターを取り付けたり、あるいはバッテリーを装備するといったHVやPHEVを開発するうえではスペース的メリットも生まれる。一方でバネ乗数に限界があったり、ストローク量が取れなかったりというデメリットもあるが、ボルボはストローク量に関してこれで十分と思っているのだと思う。

過去、『850』というモデルを作った際もストローク量が不足気味のデルタリンクサスペンションを開発してそれを押し通してしまった経緯もある。因みにシボレー『コルベット』も代々横置きリーフスプリングを使っていて有名なクルマである。

実はT6とT8に乗って一番感じられたのは、速度領域に関わらず、微振動をボディに伝えていたことと、大入力においても決していなし方が良くなかったことである。考えられるのはエアサスのセッティングがまだ出ていないこと。そしてもう一つは深刻なことだが、ボルボが1兆3000億円もの大枚をはたいて完成させたSPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャ)と呼ばれる新世代プラットフォームの出来そのものが良くないということだった。

で、結論はというとこの素のサスペンションを装備したクルマに乗ると、新世代プラットフォームの良さが味わえる。微振動など一切ボディに伝えなかったし、大入力に対してもエアサスよりはずっとましな反応を示してくれた。というわけで、正直なところ犯人はエアサスであって、こちらは日本市場に合うチューニングが施されるまで待った方がよさそうだということに僕の中ではなった。

正直この新しいプラットフォームは今後デビューする『S90』『V90』、さらには『XC60』などにも使われるはずで、これがこけると大変なことになるところだったが、そうならずに済んだのは結構なことである。とにかくリーフの採用によって縦方向(クルマの上下方向)には大幅なスペース改善が図られていて、上述したように今後ハイブリッドなどを並行生産するうえでは大きなメリットになると思う。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
《中村 孝仁》

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