2016年時点でいうと『XC90』はボルボ車ラインアップの頂点に立つモデル。トップグレードは1000万円超だが、新世代のデザインを纏ったエレガントなたたずまいは、“スカンジナビアンテイスト”のフレーズを聞くまでもない…といったところか。言葉で言えば、ゆったりと大らかなムードで、いかにもボルボらしさに溢れている。そんな同車だが、7座席SUVとして世界初となるPHEVを用意するのもトピックのひとつだ。ボルボが呼ぶところこのDrive-E 2.0リットル4気筒スーパーチャージャー直噴ターボエンジンと電動モーターを組み合わせ、システム合計で407ps/640Nmの性能を発揮。15.3km/リットルの燃費と、電気モーターのみで35.4kmの走行が可能というスペックをもつ。実車は2340kgの車重ということもあり、電気モーターのみでの走りはシズシズと実になめらか。そこからさらに加速を望むべくアクセルを踏み込むと、軽快なエンジン音が加わり、大柄なボディには十分な走りもみせる。基本的に動力性能面で、不満はないどころか、鷹揚な走りも俊足な加速を得ることも自在。AWDであることとあわせ“Twin Engine”のグレード名は決して見かけ倒しではない…そんな印象だ。車速140km/hまでの走行時にクルマを車線中央に保つようステアリングを自動調整する“パイロット・アシスト”、前走車との速度差が50km/hまでの衝突回避などの機能をもつ新“シティ・セーフティ”をはじめ、安全・安心なドライブのための最新アシスト機能ももちろん搭載。走りが心地いいだけでなく、ドライバーのストレスを軽減してくれるクルマだという点も見逃せない。なお2017年モデルの試乗車は『XC90』としても、乗り味がさらにしなやかに磨きがかけられていることも確認した。独特のクリーンで上質な室内空間はいわずもがな。人を(ドライバーも同乗者も)よりおおらかな気持ちにさせてくれるクルマ、かもしれない。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★★島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。