【新聞ウォッチ】出光興産、創業家の反乱---昭和シェルとの合併に反対表明

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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2016年6月29日付

●EU英離脱を協議、首脳会議開幕、交渉時期巡り溝(読売・1面)

●出光創業家統合に反対、昭和シェルと来週予定、議決権「三分の一超」主張(読売・1面)

●タカタ、再建策示さず退任、リコール問題株主総会で会長辞意(読売・9面)

●VW米で1兆5000億円支払い、排ガス不正補償で合意(読売・9面)

●三菱電機子会社元社長ら逮捕、架空発注4200万円詐欺疑い(読売・39面)

●ルネサス新社長就任、呉氏問われる手腕(朝日・8面)

●スズキ、新CEOに焦点、きょう選出、長男・俊宏氏有力も問われる不正の責任(産経・10面)

●ドクターカー7割が「休眠」人手予算足りず、「活用で救える命ある」(東京・3面)

●トヨタ株、5000円割れ、3年3カ月ぶり安値、円高懸念業績に逆風(日経・11面)

●訃報・稲川誠一氏(元スズキ会長)、28日死去、90歳、軽『アルト』開発(日経・43面)

ひとくちコメント

石油元売り大手の出光興産が開いた株主総会で、創業家が2017年4月に予定している出光と昭和シェル石油の合併計画に反対を表明したという。

合併に反対する創業家側株主の持ち株比率は合計で34%弱を保有している。このままの状態では、統合承認に必要な議決権である3分の2以上の賛成をえることが困難な状況となり、石油元売り業界の再編に火を付けた両社の合併構想は白紙になる恐れも考えられる。

きょうの各紙も、毎日と日経が1面トップで報道。他紙も経済面などで大きく取り上げている。創業家は今後開かれる予定の臨時株主総会で、統合承認の決議に反対する方針だが、合併計画に「待った」をかけた理由については、出光と昭和シェルの社風が違い過ぎて合併による経営の効率性を失う恐れがあるなどとしている。

それにしても、出光ばかりではなく、このところ創業家が首脳人事や重要な経営方針に大きな影響を及ぼすケースが相次いでいる。きょうの日経でも取り上げているが、たとえば、セブン&アイ・ホールディングスは中興の祖である鈴木敏文会長(当時)が子会社であるセブン―イレブン・ジャパンの社長の退任を迫ったが、創業家を中心に社外取締役らが人事案に反対した。

また、セコムでも会長と社長が突然退任したが、創業者の意向が働いたとの見方が強い。ほかにも、定食チェーンの大戸屋ホールデングスやロッテホールデングス、創業者と長女が対立した大塚家具など数えきれないほどである。

老舗企業の中には経営の第一線を退いた後は「君臨すれども統治せず」という精神を貫いている創業家も少なくないが、自動車業界ではトヨタ自動車やスズキは創業家が経営トップに連綿と君臨している例もある。

そのスズキは、きょうの株主総会後に、鈴木修会長が兼務していたCEOを返上したことで、 新しいCEOを選出する。長男の俊宏社長の就任が有力視されているが、燃費不正問題で失った信頼を回復させるには、創業家以外からのサプライズを期待する声もあがっている。

《福田俊之》

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