【東京モーターショー15】日産が考える自動運転実現までのロードマップ…2020年には市街地も

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「SMART MOBILITY CITY」に出展した日産のブース
  • 「SMART MOBILITY CITY」に出展した日産のブース
  • 『IDSコンセプト』の「パイロットモード」ではハンドルなど運転操作が収納される
  • 『IDSコンセプト』の「マニュアルモード」は運転操作できる状態
  • 『IDSコンセプト』は西ホールの本展示会場に置かれた
  • 「パイロットモード」ではシートもラウンジモードに変化
  • 日産が自動運転を実現するまでにチャレンジとするのは「ゼロエミッション」と「死亡事故ゼロ」
  • 販売された日産リーフが走行した距離は37億kmで、ガソリン車なら輩出したCO261万tを削減できたとする
  • 人間の能力に機械が能力を加えることで、各能力は数百倍にまで高まるという

日産自動車は西ホール1階にある本展示とは別に、西4ホール「SMART MOBILITY CITY」内にも出展。10月29日には『IDSコンセプト』を題材にしながら、日産が目指す将来の自動運転車についてプレスカンファレンスを行った。

カンファレンスでは、「日産が目指す究極のゴールは、環境に対しては“ゼロエミッション”、安全に関しては“死亡事故ゼロ”を目指すが、この実現にはさらにもう一段高い目標を持った技術開発が必要で、そのために必要なのが『クルマの電動化と知能化』だ」と自動運転に向けた基本姿勢を説明。その上で日産『リーフ』がもたらした効果を紹介した。

それによると「リーフは2015年9月末の時点で販売台数が19万台を超え、総走行距離が約37億km(地球~太陽間を12往復に相当)。この距離をガソリン車で走るとCO2は約61万tを発生したことになり(15km/リットルで計算)、EVであるリーフはその分量だけ削減したことになる」と環境面でのメリットを強調した。

ユーザーアンケートでは「リーフ購入者の75%が再度EVを購入したい意向を持っている」と答えているという。その理由として挙がっているのが、「EVならではの静粛性、ガソリンを不要とするランニングコストの低さ、力強い加速性能」で、その一方で「航続距離の短さ、充電時間の長さ、準電気設置数の少なさ」についての不満が出ている。

また、「日産はEVをこれまでに19万5000台販売してきたが、これまでに発火などのバッテリーに関する重大不具合は一件も発生していない。これは日産の高い品質への取り組みを示したものだ」とバッテリーが持つ高い信頼性を強調した。

最新のリーフの航続距離についても言及し、「バッテリーの容量拡大によって航続距離は従来の228kmから280kmにまで拡大。日産車ユーザーが5月の連休中に走った一日当たりの走行距離数から推察すると85%の利用をカバーできる計算になる。充電時間も約半分にまでなった」と説明した。

続いて「知能化」について。「事故の9割以上はドライバーに原因がある。このドライバーのミスをクルマが持つ能力を合わせることで事故を大幅に減らすのが知能化の柱だ。人間の能力を機械がサポートすれば能力は数百倍になる。この実現こそが自動運転に向けたチャレンジとなる」と日産の自動運転に向けた開発の方向性を示した。

自動運転に向けたロードマップも提案され、「2016年に渋滞が発生した車線変更を伴わない自動運転『パイロットドライブ1.0』を商品化。2018年には高速道路で車線変更しながら目的地まで走行する『パイロットドライブ2.0』を、さらに2020年には市街地での代表的なシーンである交差点を自動走行できる車両を発売する予定」とした。

2018年から2020年、自動運転へ向けての準備として、ハイウェイから一般道での自動運転が可能な実証実験車両を紹介。同日より一般道での実証実験がスタートしたことも明らかにした。今後は実験をグローバルに拡大していく予定だという。

『IDSコンセプト』の説明もあった。これは、2020年以降の自動運転コンセプトを具現化したもので、会場にはそのダッシュボード部分だけを切り取ったモックアップを展示した。「マニュアルモード」の時にあった運転操作機器は、自動運転の「パイロットモード」になると完全に収納され、運転席と助手席のスペースが拡大。運転を楽しむ空間からコミュニケーションを楽しむ空間へと変化する。

また、IDSコンセプトには「新開発の大容量バッテリーや非接触充電、さらに人を超える認知判断能力と、それを支える高度な人工知能、さらに周辺のクルマや歩行者にクルマの意志を知らせる表示機能など、様々なイノベーションを搭載した」と説明した。なお、車両展示は日産の本展時で見ることができる。

《会田肇》

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