【ボルボ ディーゼル 日本導入】ガソリン車との価格差25万円、大トルクと燃費で販売の半数めざす

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ボルボは23日、ディーゼル車の日本導入を開始した
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軽量化、燃料消費率向上を目指した新世代パワートレイン「DRIVE-E」への切り替えを急速に進めている北欧スウェーデンの自動車メーカー、ボルボは、日本市場においてディーゼルエンジンの展開を開始した。

新たにディーゼルが搭載されるモデルは欧州プレミアムCセグメント(アウディ『A3』などに相当)の『V40』、同『V40クロスカントリー』、プレミアムDセグメント(BMW『3シリーズ』などに相当)の『S60』、同ステーションワゴンの『V60』、クロスオーバーSUV『XC60』の5車種。

新搭載されるディーゼルは高出力・大トルクと低燃料消費率の両立を目指して設計された「D4」というユニット。欧州では120ps/280Nmの「D2」から225ps/470Nmの「D5」まで4種類のチューニングを用意しており、D4は上から2番目に相当する。変速機は本国では6速MT、6速AT、8速ATの3種が用意されるが、このうち日本に来るのは8速AT。

エンジンのディメンションはボア(シリンダー内径)82×ストローク(行程)93.2mmで、総排気量は1968cc。圧縮比は15.8:1で、排気ガス浄化システムはNOx触媒や+DPF(粒子状物質フィルター)。最高出力190ps/4250rpm、最大トルク400Nm/1750-2500rpm。性能曲線をもう少し細かく見てみると、1250rpmという低い回転数で300Nmという強大なトルクを発生させる一方、上も4300rpmあたりまで300Nm以上を維持する。回転数ごとの最高出力は1500rpmで80ps、2500rpmで140ps、3500rpmで175ps、そして4250rpmで公称最高出力の190psに達する。最新のディーゼルエンジンらしいパワーバンドの広さを持っていると言えるだろう。

技術的な特徴として挙げられるのは、最高噴射圧力が2500気圧にも及ぶ超高圧燃料噴射ポンプ、シーケンシャルツインターボ、ガソリン2リットルとの共通設計による軽量化など。

ディーゼルの燃料噴射システムで世界トップシェアを握っているのはドイツのボッシュだが、ボルボが開発パートナーに選んだのは直噴ガソリンと同じく日本のデンソー。ボルボ・カー・ジャパン関係者によれば、絶対的な技術レベルもさることながら、技術レベル技術情報を相互に広く開示し、強固なパートナーシップのもとに開発を進められるという点が決め手のひとつになったという。この2500気圧噴射システムは、乗用車用エンジンとしてはボルボが世界初採用だ。シーケンシャルツインターボユニットはボルグ・ワーナー製。重量増はパフォーマンス面で近いガソリン「T5」(245ps/350Nm)との比較で約30kgに抑えられている。

8速ATはV70の2リットルターボに搭載されたものと同じ、アイシンAWと共同開発したユニット。「ギアトロニック」と名づけられているが、6速ATが湿式デュアルクラッチ式だったのに対してこちらはトルクコンバーター式。1速1000rpmでトルクコンバーターの滑りを止めて直結状態にする全段ロックアップ機構を持たせることで、伝達効率を高めている。

このディーゼル+8速ATのパワートレインは最新のモデルらしくスタートストップ(アイドリングストップ機構)を装備しているが、面白いのはその制御。赤信号で停車するとき、前のクルマが少し進んだので車間を詰めたいといったシーンでも継続的に機能するよう、時速1kmに達すれば停止時にふたたびアイドリングが停止する仕様に改められたという。

ガソリンモデルとの価格差は全モデルで25万円。エコカー減税額に違いがあるため、V60の場合で実質10万円にまで差が詰まるという。ボルボ・カー・ジャパンはこのディーゼル投入により、日本で販売されるボルボ車のうち、およそ半数がディーゼルになると予想している。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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