【メルセデス S550 プラグインハイブリッドロング 試乗】今求め得る最良の「ビジネスクラス」…中村孝仁

試乗記 輸入車

メルセデスベンツ S550 プラグインハイブリッドロング
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メルセデスベンツ『Sクラス』にプラグインハイブリッドモデル、『S550 プラグインハイブリッドロング』が追加された。サイズと性能、それに機能性と運動性能など、自動車としての素養を考えた場合、今求め得る最良の1台がこれであることは間違いないと思う。

敢えて「ビジネスクラス」と書いた。連想するのは勿論航空機のビジネスクラスだと思う。そう思って書いている。上にファーストクラスがあるじゃない。だったら、それより下という意味? という突込みも聞こえる。確かにその通りだ。

メルセデスは最良ではあっても最高のクルマだとは考えていない。最高を謳うのは多分に趣味性まで加味されるべきだと思う。時計で話をするとわかり易いかもしれない。メルセデスは僕にとってローレックスなのである。使い勝手が良くて機能性が高く、高級であり威厳がある。まさにメルセデスだ。

しかし、時計好きがローレックスを最高だとは多分思わない。その上には例えばパテックフィリップが存在し、あるいはオーディマピゲのような宝飾系やメカニズムの極致であるブレゲやフランクミューラーのような時計が存在するが、これらは多分に趣味性が強い。そしてお値段もローレックスとは比べようもなく高い。でも、どこで妥協をするかといえば、多くの人はローレックスを最良の相棒と思うのではないだろうか。即ち日常的に使うにあたり…である。

というわけで最良のビジネスクラスなのである。

さて、今回のモデルは第3世代の直噴ユニット、3リットルブルーダイレクトV6と、大容量のリチウムイオン電池、それに出力85Kwのモーターを組み合わせ、家庭でも充電が可能な機能を持ったPHEVだ。現行メルセデスSクラスのエントリーモデルも『S400ハイブリッド』なのだが、こちらは充電機能がなく、かつモーター出力も20Kwと小さい。エンジンこそ3.5リットルで排気量は大きいが、第3世代ブルーダイレクトの3リットルはツインターボ。というわけで性能的に今回のPHEVがエントリーモデルのS400ハイブリッドを圧倒する。

元々ガソリン仕様のSクラスも、その乗り心地、運動性能、パフォーマンスなどどれをとっても文句のつけようがなく、乗るたびに「参りました」と言わされてきたクルマなのだが、今回のPHEVはそれに輪をかけて「参りました」であった。というのも、電気モーターだけによる走行が大幅に増え、実際街中で試すとほとんど電気だけで走れてしまうほどの性能を持っている。過去に乗ったPHEV(数台だが)は、ちょっと踏み込むとすぐにエンジンがかかって、EVモードを選択しない限り、流れに乗ってEV走行するのは結構大変だった。

ところがこのSクラスはタコメーターの0よりも下にEV走行を示す範囲が付いている。そして完全停止はOffという表示で示されているのだ。走りはじめはもちろんEV。そしてタコメーターの0を超えるとエンジンがかかるわけだが、エンジンをかけたくなければ、それ以下の部分で走ればよく、この状況でも十分に流れには乗れる。また、Eモードで走れば、エンジンがかかる直前にアクセル自体が重くなってその限界を知らせてくれる。

燃費を最優先するE+モードで走ると、不必要と判断した加速をした場合などにやはりアクセルにこつんこつんと振動が伝わり、「お前は余計にアクセルを踏み込んでいるぞ」と言わんばかりの警告も発してくれる。こうなると少々、乗せられている感も出てくるのだが、要は省燃費性能を最大限に引き出したければ、それを守ればよい。一方でそんなものはすべて無視してガツンと踏んで行けば、442ps、650Nmのシステム出力、最大トルクでグイグイと加速する。車重はS600ロングよりも重い2330kgもあるから、さすがにバカッ速いというわけにはいかないが、十分にぞくぞくする加速感は味わえる。

インテリアの上質さなど言わずもがな。そして、ちりばめられた安全装備をはじめとする装備類の数々も、まさに眩しいばかり。そんなクルマのお値段がガソリン仕様のS550と同じと来れば、多少の性能は犠牲にしても多くのこのレベルのクルマを買える人なら食指が動くというものだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度 :★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
 
《中村 孝仁》

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