【VW e-up!試乗】初の5ナンバー4人乗り輸入EVの実力は?…中村孝仁

試乗記 輸入車

VW e-up!
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ズバリ言ってしまうと、電気自動車の致命的な欠点は航続距離が少ないことだ。ただし、人それぞれ車の使い方が異なるので、距離の短さを気にしない人もいる。VW『e-up!』は、日本に登場した初の輸入4人乗り5ナンバーの輸入電気自動車である。

VWの電気自動車に対するコンセプトは、特別扱いをしないということ。だから既存のモデル、ここでは『up!』であるわけだが、それをベースに電気自動車化したわけで、『ゴルフ』も同時に電気自動車化されて登場した。その背景にあるのは、一般ユーザーが違和感なく電気自動車に乗れることというわけで、ここが専用に電気自動車を作り上げたBMWとは大いに異なるところである。

確かに普通のドライバーが接するには日ごろ見慣れたクルマであることも、新たな動力源として電気を持つクルマに対する抵抗感が少ない。というわけで、実際目の当たりにして普通のup!と異なるところはほとんどない。外観では勿論エンブレムがe-up!となる以外は、例えば特徴的なCの字をかたどった前後のLEDライトとリフレクター(リア)が電気自動車の特徴となる以外は大きな違いはなく、強いて言えばホイールが独特な、いかにも空気抵抗の少なそうなデザインを持っているくらいである。

ご存じの通り、電気自動車に限らないが、走り方次第で航続距離は随分と違ってくる。これはガソリン車でも同じ。電気の場合は特にそう簡単にまだ充電インフラが見つけられないことと、充電そのものに時間がかかるので、結果的にエコな運転に心がけ、ひいてはそれが環境に優しくなる。

e-up!の場合3種の走行モードと3種の回生モードを備えていて、状況に応じて使い分けることが出来る。3人乗車、90分の試乗時間をどう使うか。電気自動車だからシティユースに特化して街中だけを走るのも一つの手だが、今回は大胆にも高速で少し距離を伸ばしてみることにした。とは言うものの、スタート段階で満充電ではなく、航続距離は僅か95km程度だ。ただし、これはノーマル走行モードの状態で、これをエコ、エコ+と切り替えていくと、最終的に航続距離は102kmまで伸びた。

と言ってもガソリン車の1/4程度の距離しか走れない。(ちなみに満充電での可能走行距離は185km)確かにノーマルモードをチョイスしてちょっと踏み込んだだけで、クルマは下手なスポーツカー顔負けの加速感を示す。しかし一方で、航続距離を示すメーターはいきなり数キロの可能走行距離を失うのだ。だから、少しでも遠くに…と思ったら我慢してエコ+を選んで、極力踏み込まず一定のスピードで淡々と走るに徹するのが良い。もっとも、エコ+であっても初期加速は並のクルマに十分対抗できるので、流れに乗るには何の問題もない。因みに、ノーマル、エコ、エコ+では出力も異なり、それぞれ60Kw、50Kw、40Kwとなる。

シフトレバーを横に倒すことで、回生ブレーキの強さをチョイスできる。D1~D3まであり、3が最も強い回生力を持つ。アクセルを離すと結構な抵抗でクルマがぐっと減速する。一般道でD3をチョイスした状態でアクセルを離すと減速が強すぎて、なかなかスムーズなドライブが出来ないが、高速ではこれが存分に使える。驚いたのは、トラックの後ろに張り付いて走ると、風の抵抗が減じられて大幅に航続距離を延ばすことが出来ること。その効果は絶大だった。

湾岸千葉から高速に乗り、四街道で降りてちょっとした撮影スポットまでおおよそ6km。高速区間は22kmほどだから、合計28km。往復で56kmという計算である。だから、発進直後の航続距離を考慮すれば、十分に帰ってこれる計算。実際試乗会場に戻った時の航続距離残は、まだ56km程度残っていた。もっとも最後にスロープの登りで電気を使い、結果的には48km程度に落ちたが、高速で追い越し車線に出てこうしたドライブを楽しむことも十分可能だということが分かった。つまり、僅かなスロープを上るだけで8kmもの貴重な航続距離を失うというわけである。

また、230kgものバッテリーを床下の積んだ結果、その乗り心地と安定感はガソリンのup!よりも確実に上である。勿論、電気代はガソリン車の燃料代の半分以下で済む。もっとも車両価格の方は高く、元を取るにはだいぶ乗り続ける必要があるが…。

■5つ星評価
パッケージング ★★★
インテリア居住性 ★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★
おすすめ度 ★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来36年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
《中村 孝仁》

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