【池原照雄の単眼複眼】EVに「安心」の追い風…急速充電器が2.6倍の6000基に

エコカー EV

日産リーフと急速充電ステーション
  • 日産リーフと急速充電ステーション
  • 日産リーフの充電ポート
  • 東光高岳のEV急速充電器 スリムな20kW型でコイン式課金装置を組み合わせている
◆政府の大型補助金決定からわずか2年で

電気自動車(EV)と一部のプラグインハイブリッド車(PHV)で使う「急速充電器」が、これからコンビニや高速道路、道の駅などに驚くほど急ピッチで設置される。日産自動車によると、現状の全国2300基が2015年3月末までには約6000基と半年で2.6倍に増える見込み。

原動力は、国の補助金活用のため自動車4社が協力して立案した普及スキームを、受け皿となる法人とともに一気に推進していることだ。世界で最も充実した充電インフラ網となり、EVなど電動車両の安心と普及を強く後押しすることになろう。

政府が充電インフラの整備に向け1005億円もの補助金(12年度補正予算)を計上したのは2013年3月。それから2年という短期で、充電器のネットワークが大きく進むことになった。自動車業界は当時から日産をはじめ、トヨタ自動車、ホンダ、三菱自動車工業の4社が整備推進の協力体制を敷き、2014年5月には日本政策投資銀行とともに、推進母体となる日本充電サービス(NCS、東京都港区)を設立した。

◆設置側は顧客動員効果も評価

NCSは、充電器に関する設置費用の一部負担、メンテナンス費用やユーザーからの料金徴収や問い合わせ対応などを全面的に担う。そうした“丸ごとサポート”に加え、「充電器の設置によるお客様の動員効果も、コンビニなど設置者さんに評価されている」(日産・充電インフラ推進部の野村紀子担当部長)という。NCSは乗用車タイプのEVが100km程度走行するための充電が15~20分くらいでできる「急速充電器」と、同様に3~4時間を要す「普通充電器」の両方の設置に取り組んでいる。

「急速」だと、数百万円規模の設置費用のうち3分の2が国の補助金となる。残り3分の1(上限170万円)や年間約40万円までのメンテナンス費用などをNCS、つまり自動車4社が負担する。NCSが政府補助金全ての受け皿となるわけではないが、同社のスキームによる「急速」の新設は、2500基程度となる見込みで、いずれも来年3月末までに設置される。「普通」については15年2月まで申請を受付中だ。

日産によると、6000基という急速充電器の数字(2014年度末見込み)は、有力ハンバーガーチェーン数社の合計店舗数である約5500を上回る。同社充電インフラ推進部の新倉治部長は「4社の大同団結によって、いわゆる『ニワトリが先か卵が先か』という関係を断ち切る取り組みが進んでいる」と評価する。

◆世界をリードする充電インフラのノウハウを蓄積する

NCSのインフラによる充電サービスでは、同社または自動車4社が発行するカードを利用する。急速充電の料金は、30分で1500円程度になる見込みという。各社独自のサービスも始まっており、日産は10月から従来のEV普及促進プログラムを拡充・強化した。月額税抜き3000円(15年3月までは半額)の会費で、日産販売店とNCSなどが整備する全国4100基の急速充電器が制限なしに無料で使えるようにする。5年間の車両点検や緊急時のレッカー対応サービスなども無料でつく。

一方、NCSに出資する企業は、他の国内外の自動車メーカーが自社のEVやPHVユーザー向けにNCSの充電器利用を推奨するのも、「もちろんウェルカム」(出資各社)という立場。その際はNCS発行のカードが利用される方向だ。

急速充電器の規格は日本の「チャデモ」が世界での先駆けとなり、充電器の普及も同規格品が先行している。チャデモは現状では米国で700基、フランスで120基というレベル。ただ、これらの国では今後、欧米独自規格の「コンボ」が主流になる見通しだ。それでも、日本の6000基という規模は圧倒的であり、こうした次世代車両インフラの先行投資と経験は、確実に世界をリードするノウハウの蓄積をもたらすだろう。
《池原照雄》

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