ヤマハ発動機は4月10日、同社初の電動アシスト車いすの完成車「JWスウィング」の試乗会を開催した。JWスウィングは6月10日の発売予定で、業界関係者を招いた発表会と同時に行われたもの。
実車を目の前にした印象は、コンパクトだということ。電動フルサポート式の車いすは80~100キロの重さがあるが、JWスウィングは23.9キロ(ニッケル水素バッテリー搭載でプラス2.9キロ、リチウムイオンバッテリー搭載でプラス3.6キロ)と軽い。手動の車いすと同様に折りたたみが可能で、なおかつフレームから電動ユニットの着脱ができるので、車両に積み込むのも楽だ。介助者やケアマネージャーにとって、この軽さはありがたいだろう。
また電動フルサポート式の車いすのような”満載感”がなく、かなりスタイリッシュ。車輪やモーターの入ったハブのカバーなどがすっきりとしており、バッテリーをバッグに収納しているので、ぱっと見では電動には見えない。これなら外出してみようと思うかもしれない。やぼったさがないのだ。
実際に乗ってみる。発進、停止、右左折、それにスロープなど、苦もなく進み、非常に滑らかだ。特にスロープで力を込めなくてもいいというありがたさがよく分かる。すいすいと上っていき、ストレスを感じさせない。下りはやや不安があったが、自然と制御して減速してくれる。いわばエンジンブレーキのような感覚。乗っているうちに安心感も出てきた。
パソコン専用ソフト「JW Smart Tune」で、アシスト力や直進力、旋回性、左右輪バランスなどのアシストモードがあり、その2パターン設定もできる。個人それぞれの力やクセに機械側が合わせて制御してくれるもので、これが滑らかさやスムーズさにつながっている。例えば、室内と外出という2パターンモードに設定すれば、個人に合ったバランスを取りながらそれぞれの乗り味の調整を行ってくれるわけだ。
操作そのものは手動車いすと全く同じで、基本的にはハンドリムを回すだけ。難しい操作は全くない。これなら高齢者にとっても取っつきにくさはないだろう。何より力いらずの楽々操作は、外出の意欲をかきたてると感じた。