アウディ『A3』に追加されたセダンモデルは、日本のリクエストに応え、1.8mを切る全幅でパッケージングされた。
昨年末、1.8リットルターボエンジンを搭載する4WDモデルをスノードライブしたA3のセダン。今回はドライ路面でもっともベーシックな1.4リットルターボエンジンのFFモデルを試乗する機会を得た。
180馬力を誇る1.8リットルモデルに対し、1.4リットルモデルは122馬力とごく普通のパワーだが、不足感を感じることはない。ATはデュアルクラッチ式の7速で、シームレスな変速を実現。スッキリとした気持ちのいいよどみない加速を味わうことができる。
アクセルペダルを床まで踏み込んだ加速では、6000回転までエンジンが回りシフトアップしていくが、マニュアルモードにすればさらにプラス200回転程度回ってからのオーバーレブを予防するためにシフトアップが行われる。より高いエンジン回転数を使いたければマニュアルモードで乗ればいい。
若干硬めの乗り心地だが、乗り心地が悪いという印象ではない。タイヤもショックアブソーバーも含めて、しっかりとしたダンピングで、クルマの動きを受け止めて動きを一発で収めるような動きだ。それでいて、クルージング中の静粛性は高く、快適性は高い。
しっとりした手触りのステアリングや、しっかり感のあるスイッチ類など高級感の演出も上手。ドライビングを楽しむ人を満足させながら、コンフォート性も提供するあたりはすべてのアウディ車に共通する要素。小さくてもアウディらしさはしっかりと味わえる。
車両本体価格は325万円。1.6リットルセダンにこの金額を投じると考えるのか、アウディにこの金額を投じると考えるのか…価値観によって大きく気持ちがわかれるタイプのクルマとなる。
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。