新型『レンジローバー・スポーツ』のトップモデルがこの「Autobiography Dynamic」だ。シリーズでは唯一の5リットルのV8スーパーチャージド(510ps/625Nm)を搭載。1260万円の価格設定もシリーズ最上位だ。
21インチホイールから赤いブレンボのブレーキキャリパーが覗く外観は、ノーブルなボディ色(カタログには19色も用意される!)もあって、攻撃的な雰囲気はもちろんしない。リヤサイドのドアガラスにパーティション(3角窓)がないことで「あ、スポーツか!」と気づく程度だ。
試乗車では「エボニー/ピメント」と呼ばれるコンビの革内装。ホットな印象だった。加飾パネル含め、内装のバリエーションも豊富な選択肢が用意されるのはこのクラスならではだ。メーターに12.3インチの液晶画面のバーチャル式(指針に透けて数字が読み取れる)を採用するのもポイントだ。
そして走り。始動時の猛々しいV8のエンジン音を聞くと「ああ、レンジだ」と思う。加速時に不必要ではない範囲でその音が室内に届くのも嬉しいところ。しかしエンジンに起因する不快な振動はなく、もちろん、クラシックレンジのように走行中にデフの唸る音が聞こえたりしない。あくまで洗練された最新の『レンジローバー』同様の力強くスムースなパワーフィールを発揮。乗り味もV6搭載車に対し160kg程度の重量差があってか、よりしっとりと重厚なもの。とはいえワインディングも得意満面でサラリと駆け抜けるあたりが「スポーツ」である所以だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている