トヨタ自動車の欧州法人、欧州トヨタは9月10日、ドイツで開幕したフランクフルトモーターショー13において、『ヤリス ハイブリッド-Rコンセプト』を初公開した。
トヨタ自動車は1997年に発表した初代『プリウス』以来、世界のハイブリッド車市場をリードしている。そのトヨタが、ハイブリッド車の新たな方向性のひとつとして提案する高性能バージョンが、ヤリス ハイブリッド-Rコンセプト。
ヤリス ハイブリッド-Rコンセプトは、欧州向け『ヴィッツ』の3ドアをベースに、モータースポーツで磨いたトヨタのハイブリッド技術を投入。WEC(世界耐久選手権)に参戦中の『TS030ハイブリッド』と同様の技術が、パワートレインに採用される。
搭載エンジンは、トヨタモータースポーツの開発した直噴1.6リットル直列4気筒ガソリンターボのGRE(グローバル・レース・エンジン)。モータースポーツでの使用が前提のこのエンジンは、最大出力300psと、排気量1.6リットルとしては異例のパワーを引き出す。
これに、2個の強力なモーターを組み合わせる。エンジンは前輪を駆動。後輪の左右にそれぞれモーター(最大出力60ps)を配置し、後輪を駆動する。このモーターは、市販車の『ヤリス ハイブリッド』と共通。モーターは加速時、エンジンをアシスト。減速時にはジェネレーターの機能を果たす。エンジンとモーターを合わせたトータル出力は420ps。
特徴的なのは、二次電池に代えて、スーパーキャパシタを後席下に搭載した点。ルマンやWECレーサーのTS030ハイブリッドの技術を応用した部分といえる。欧州トヨタによると、ヤリス ハイブリッドのニッケル水素バッテリーと比べて、スーパーキャパシタはパワー密度が高く、充放電も素早く行えるメリットがあるという。
フランクフルトモーターショー13のプレスカンファレンスには、欧州トヨタのDaniele Schillaci上級副社長が登壇。「ヴィッツの3ドアをベースにしたドリームカーだ。加速の際、蓄えたエネルギーをエクストラパワーとして使うことができる」と語っている。