ルマン24時間総合優勝のデュバル「余韻に浸る時間は殆どなかった。次はWECのタイトル狙う」

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ロイック・デュバル選手
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  • ルマン優勝を祝した花束を受け取るデュバル。左は富士スピードウェイの堤社長。

ルマン24時間レースで初の総合優勝を達成したロイック・デュバルは、ルマンを含む全8戦で争われる世界耐久選手権(WEC)のポイントリーダーでもある。秋には富士戦を控えるWECの王座獲得もまた、今季の重要なターゲットだ。

「そう、我々アウディには2つの大きなターゲットがある。まずルマン優勝。そしてもうひとつはWECのタイトルを獲得することだ」

アウディR18 e-tron quattroで戦うドライバーたちの意識の高さ、そして昨年から復活したWECの連覇もまた重要なターゲットであることを証明するエピソードが、ルマン優勝直後にもあった。

「パレードランをして表彰式に向かう途中で、僚友のアラン(マクニッシュ)が僕の背中を叩いて、『次は選手権タイトルを獲らなければならないな』って言ったんだ。だから優勝の喜びを(その直後に)味わう時間は、とても短かったよ」

現在のポイント状況は、マニュファクチャラー部門がアウディ102点、トヨタ67点。ドライバー部門はデュバル組が94点で、同じアウディのアンドレ・ロッテラー組64点、トヨタのアンソニー・デビッドソン組63点だ。参戦台数的な状況等を考慮すると、アウディの連覇は濃厚、ドライバー部門でもデュバル組が優位な状況にある。

「モータースポーツに限らず、アスリートにとって世界選手権というのはスペシャルなものだ。そして今、確かに僕たち(2号車)はいいポジションにいる。(通常の6時間レースなら)1レース分以上のポイントリードがあるからね。でも、まだこの先、何が起きるかはわからない」

ここでもアウディの2冠独占が最優先ではあるが、ドライバー部門では別だ。ロッテラー組の連覇を阻んで、自分たちが、という思いは、当然デュバル組にもあるだろう。デュバル個人がWECをフルに戦うのは今季が初めてだが、ルマン優勝直後のマクニッシュの言葉には、「今年は選手権の方もオレたちが獲るぞ」という気持ちが含まれていたはずだ。

9月1日決勝の第4戦から再開される後半5戦には、富士スピードウェイでの戦いも含まれる(第6戦、10月20日決勝)。デュバル同様にスーパーフォーミュラにも参戦しているロッテラーは、「WECでの30点差は厳しい」ともコメントしているが、個人としての連覇をあきらめるはずはなく、今回のスーパーフォーミュラでも熾烈な攻防を見せた両雄、WEC戦線でも熱い戦いを演じてくれそうだ。特に富士では昨年、トヨタ(中嶋一貴ら)に優勝されていることもあり、アウディとしても雪辱を果たしたい気持ちが強いと見られるところ。10月が今から楽しみである。

さて、フランス出身のデュバルにとってルマンは、育った場所から「レーシングドライバーの運転で45分くらいかな」という“ご近所”であり、カートレースやジュニアフォーミュラでも親しんだ場所だった。

「やはり多くの子供たちが最初はF1を目指してレース活動を始めるもので、自分もそうだった。ただ、『いつかはルマン24時間に出るんだ』という気持ちもどこかにはあったと思う。08年に初めて出場した時は、とても驚いて、感激したよ。素晴らしいドライバーたちがたくさん出場しているレースだということに、あらためて気付いたからね。とてもコンペティティブなレースであり、ルマンで勝つことはモナコGPで勝つのと同じくらいエモーショナルなことだと思う。今年勝ったことで、あらためてルマンの大きさや歴史の深さを感じてもいる」

新たな栄光を手にして、偉大なルマンの伝説の一部にもなったデュバルは、レーシングドライバーとしての充実期を迎えている。今後も日本、そして世界のトップレーシングシーンで大いなる活躍を見せてくれることは間違いない。

《遠藤俊幸》

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