プジョーの量販モデルである『208』シリーズ。待望のスポーティモデル「GTi」の販売が始まり、これに合わせ報道関係の試乗会も開催された。
ボクらにとってGTiと言えば、1980年代、バブル景気の真っただ中に日本に上陸したプジョー 『205 GTi』。わずか100馬力程度のエンジンを積むFFコンパクトに、ボクらはワクワクして乗り、街を流し、峠を攻めた。
今回、新しい208 GTiを走らせてまず感じたのが、あのワクワク感が戻ってきたということ。新しいGTiは200馬力のエンジンに6速MTが組み合わされ、ボディも3ナンバーと広くなっているが、根底にある運転フィールはあの205 GTiに乗ったときと同じ。
もし、昔の205に200馬力エンジン積んでFFで走らせたらものすごく、おっかないはずだけど、208は現代のESC(車両安定装置)などに守られたシャシーがその走りを助けてくれる。
いいところは助けるだけじゃなくて、ちゃんと限界を味わわせてくれるところ。ハイペースでのコーナリングもピシッと決まるし、その先にアクセルを踏み込んでいくと、メーター内のESCインジケーターがビカビカッと点滅しつつアンダーステアを抑えて、そのままコーナリングを続けられる。
この続けられる部分が大切。ここで「はい終わり!」と出力を絞り切るようなことはないのだ。峠でタイヤを鳴らすクルマじゃなくなったが、熱いハートを打ち鳴らすクルマであることは確かだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。