【アテンザ開発者への10の質問】Q.6 i-ACTIVSENSE は EyeSight とどう違う?

自動車 ニューモデル 新型車
マツダ アテンザ
  • マツダ アテンザ
  • マツダ アテンザ
  • マツダ アテンザ
  • マツダ アテンザ
  • マツダ アテンザ
  • マツダ アテンザ
  • マツダ アテンザ
  • マツダ アテンザ

2012年11月、マツダが販売を開始した新型『アテンザ』。3月3日現在での受注台数は当初の予定を大幅に上回る1万2000台超と、上々の立ち上がりを見せている。

同社の新世代技術"SKYACTIV TECHNOLOGY"をフルに採用した新世界戦略車である新型アテンザはどのようにして生まれたのか。それを明らかにするため、アテンザ開発陣に「10の質問」を行った。

Q.6 i-ACTIVSENSE は EyeSight とどう違う?
A. EyeSightがステレオカメラのみを用いているのに対し、i-ACTIVSENSEではカメラに加えてミリ波レーダーと赤外線レーザーをも用いている。

◆カメラ・ミリ波レーダー・赤外線レーザーを用いているi-ACTIVSENSE

このところどこのメーカーも安全装備に関する充実化が進んでいる。マツダもアテンザでi-ACTIVSENSEという安全装備を搭載した。これはマイクロ波レーダーと赤外線レーザー、さらにはカメラまで用いたプリクラッシュセーフティシステムや、車線逸脱警報システム(LDWS)を含んだマツダの予防安全に関する統合技術の総称だ。

プリクラッシュセーフティシステムではスバルのEyeSightがよく知られているが、EyeSightがステレオカメラのみを用いているのに対し、i-ACTIVSENSEではカメラに加えてミリ波レーダーと赤外線レーザーをも用いている、という大きな違いがある。i-ACTIVSENSEでマツダが目指したものは何か。新型アテンザ開発主査の梶山浩氏に聞いた。

◆視界の悪い時こそ、ドライバーは安全装備にフォローしてもらいたいもの

「カメラだけで検知するシステムでは濃霧であったり豪雨であったりという悪天候に弱いのではないか、というのが我々の考え方です。視界の悪い時こそ、ドライバーは安全装備にフォローしてもらいたいものですよね?赤外線レーザーは、その特性上意外と手前までしか見られませんし、マイクロ波レーダーは中間距離での正確性に若干問題があるんです。これからの技術課題として、レーダーとレーザーの役割を一体化できないかということは考えられますが、現段階ではこのシステムがベストと判断しています」

もちろん、濃霧の際にはドライバー自身が十分に速度を落として走行する必要がある。それでも、ドライバーとしてはそんな悪天候だからこそ平時以上に自動ブレーキを頼りたくなる。それにしても、ここまでのシステムとなれば、相当なコストがかかっていると想像してしまうが、さほど車両価格に反映しているとは感じられない。コスト面はどのように解決しているのだろうか。

◆コストよりも「まずは世界基準の安全装備を作り上げること」

「レーダーだけ、カメラだけの安全装備と比べれば、確かにコストは上昇してしまいます。しかし、まずは世界基準の安全装備を作り上げることが大事だと考えたんです。輸出仕様と国内仕様で生産工程の共通化が図れるので、生産台数が増えればコストダウンにつながるとも思っています。それに、導入時の価格だけでコストを考えるべきじゃないと思うんです。こうした電子部品は作れば作るほど、コストが下がっていくものでもありますから。そうは言っても、まだ『デミオ』のようなコンパクトカーに導入できるようなモノではないのですけどね」

◆「オフにされたら負け」の車線逸脱警報システム

また、i-ACTIVSENSEの中には車線逸脱警報システム(LDWS)も含まれている。走行中にシステムが作動するのは、車線をはみ出しそうになった時ということだが、実際に走行してみると、警報が鳴る時と鳴らない時がある。この判断は何を基準に行なっているのだろうか。マツダ車両開発本部車両システム開発部で予防安全技術の開発を行なっている小川氏に、その機能の働きの仕組みについて聞いた。

「車線逸脱警報システムはカメラによって道路の白線を認識して、そこからはみ出しそうになった際に警告音を出すことで安全性を高めるものですが、車線をはみ出しそうになってもドライバーが意思をもってステアリングを切ったと判断できるような時には鳴りません。この判断もドライバーの運転の仕方や道路環境によっても若干差がありますし、ドライバーの感じ方にも違いがあるので、車線との感度や運転への反応をそれぞれ3段階で調整できるようにしています。さらにこのシステムをオフにしておくこともできます。けれども我々としては、この機能を『オフにされたら負け』だと考えています」

走行に邪魔な存在だと思われた時点で「負け」だと言う小川氏の言葉に、開発者としての意気込みを感じる。車線を逸脱しそうになった場合、他社のように警報だけでなく四輪のブレーキを独立制御して修正舵に使うことは考えなかったのだろうか。

「それも実験レベルでは行なっているんですが、どうしてもステアリングに違和感が出るので、導入するのはなかなか難しいと思っています」

居眠りに関する警報や修正舵についても研究はしているが、やはり判断やステアフィールの問題で、課題は多いそうだ。まだまだ自動ブレーキシステムに関しては、色々と改善の余地がある、ということか。

《高根英幸》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

教えて!はじめてEV

特集