【VW up! 試乗】 クルマとの付き合い方に革新を…金子浩久

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フォルクスワーゲン up!
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筋肉質な走りっぷりはドイツ車そのもので、日本の軽自動車やコンパクトカーのようなペナペナで頼りない感じがまったくない。その点においては、兄貴分の『ポロ』や『ゴルフ』に引けを取っていない。

トランスミッションの変速ショックを危惧する指摘もあるが、同じ原理のものを採用している他のクルマに較べても、それはごくわずかに収まっている。実際に購入して乗り始めれば慣れて気にならなくなる類のものだ。

それどころか、自動変速モードとマニュアルモードがシームレスにつながっている点が大きな長所となっている。“D”モードで走行中に変速が必要になった場合には、シフトレバーを短く前後に動かすだけでマニュアルモードに変換され、同時にギアが変わる。そして、数秒から十数秒後には自動的にモードが“D”に戻ってくれる。

149万円からという思い切った低価格にもかかわらず衝突防止自動ブレーキが標準装備されていたりするのも、商品性を高めているのと同時に“あなたはクルマの何を重視するのか?”と『up!』から問い詰められている気がしてくる。

安楽装備やギミックではなく、安全と環境は大前提として、コンパクトでも長距離を疲れず走れ、長期間にわたって愛用できる基礎性能を充実させている。

だから、149万円の2ドアモデルの助手席側窓ガラスが電動でなかったり、リアガラスが外側へ斜めに開ける形式になっているのも、すべて割り切っているからだ。up!流の“集中と選択”の結果なのである。

大袈裟ではなく、up!を選ぶということは生き方つまりクルマとの付き合い方を革新させられるようなものである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア・居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

金子浩久|モータリングライター
1961年、東京生まれ。主な著書に、『10年10万キロストーリー 1~4』 『セナと日本人』『地球自動車旅行』『ニッポン・ミニ・ストーリー』『レクサスのジレンマ』『力説自動車』(共著)など。

《金子浩久》

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