【ホンダ N BOX 試乗】乗り心地で選ぶとカスタム!?…青山尚暉

試乗記 国産車
カスタムNAモデル。
  • カスタムNAモデル。
  • カスタム・ターボ。
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  • 大きく立派に見えるのは、ボディ上部をパレットのように絞っていないから。

横滑り防止装置のVSAとヒルスタートアシストを全車に標準化してライバルを驚かせたホンダ『N BOX』には、ライバル同様にエアロ仕様のカスタムがある。

標準車との違いはスタイリングだけじゃない。まずは操縦安定性に効くフロントスタビライザーが装備され、タイヤサイズはNAの14インチ、カスタムのみのターボモデルには15インチが組み合わされる。

ただそれだけ……、と思ったら大間違い。フロントスタビライザー装備で足回りを硬めずに済むため、乗り心地がフロントスタビライザーなし+13インチタイヤの標準車よりはるかにいいのだ。標準車だとエコタイヤ+硬めたサスペンションによって乗員は路面、速度を問わず上下動=ピッチングに揺すられがちなのだが、カスタムならNA、ターボを問わずよりフラットで快適な乗り心地を示してくれる。

パワステは標準車同様に終始、軽い。ホンダいわく「扱いやすさ重視」のためだが、車庫入れ時を除き、ちょっと軽すぎる印象。全高と重心が高いクルマだけに、VSA標準とは言ってももう少し安心感ある引き締まった操舵感が欲しいと思う。電動パワステだから、そのあたりの味付けは自在のはずである。

都内の市街地、横浜の市街地、高速道路を走った結論としては、乗り心地がもっともよく重心の高さを感じにくいのは唯一、非エコ仕様となる15インチタイヤを装着するターボモデル。次いで14インチのエコタイヤを履くカスタムNAモデルということになる。

NAなら必用十分、ターボならゆとりの加速力を発揮するエンジンはけっこう騒々しい。巡航中はともかく、回転を上げるとまるでインパネの中にエンジンがあるかのように直接的なノイズがキャビンに侵入してくるのだ。新エンジンは軽量化のためブロックの肉厚を薄くしたのがその理由らしいのだが(コスト的に吸音、遮音材を奢れなかったこともある)。より静かなのは回転数が抑えられるターボだけど、166万円~もするし、販売比率は5~10%なわけで……。

とはいえ、パッケージはホンダ初挑戦となる容量系軽自動車中ベスト。センタータンクレイアウトの面目躍如といったところだが、後席の膝回り、足元の広さは圧巻。身長172cmのドライバー背後で膝回りに410mmのスペースはタントの10mm増し。フロアの広さに至っては奥行き625mm×幅1230mmと、ダイハツ『タント』、スズキ『パレット』を圧倒。大型犬が横になれるほどフラットで広々だ。しかもクラス最大のスライドドア開口部幅を持つのだから乗降性も最上級。

27インチの自転車を乗せられることが開発の目標となった荷室は通常時でも奥行き395mmと、タントの300mm~、パレットの350mm~(後席スライド位置による)より広々。最大奥行きは1500mm近くになるから凄い。

ペットフレンドリーな自動車メーカーとして知られるホンダらしく、愛犬を乗せるシーンでもN BOXは見事に期待に応えてくれる。荷室側から乗せる場合は開口部地上高480mmの低床が威力を発揮してくれるし、スライドドアからなら5:5分割の後席を片方、または両方ハネ上げることでさらに広大なフロアが出現(室内高1400mm)。荷室、後席フロア、後席の3カ所のどこにでも乗せることができるフレキシビリティが嬉しい。

ちなみに後席からの降車性はタント、パレットを大きくリード。その理由はセンタータンクレイアウトゆえシート下に空間があり、足引き性がいいから。タント、パレットはそこにガソリンタンクの出っ張りがあり、足が引けないのだ。そう、いすに座った状態で、足を前に出していると立ち上がろうとしても立ち上がれない。しかし足を引けばスッと立ち上がれる……。それと同じである。

というわけで、N BOXのベストチョイスはカスタムのNAモデルと結論づけたい。最大の理由はスタイリングではなく乗り心地。そして価格を含めたバランスだ。ペットフレンドリー度は標準車もカスタムも変わらないものの、愛犬だって常に上下に揺すられがちな乗り心地は好まないでしょ!?

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフジャーナリスト
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組も手がける。

《青山尚暉》

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