フォードのSUVといえば、四角くってふわんふわんな乗り心地。大陸を走って気持ちまでおおらかになるってもんで……と思ったらクーガは大間違いである。
欧州フォード・プレゼンツ。ベースが『フォーカス』とくれば、うげっ? とうなるほどのピシッとした乗り心地に、こちらの背筋まで伸びるというものだ。
タイヤが半周しただけで、只者ではない緊張感。この硬さ。この反応のよさ。これはSUVの乗り心地ではないのでは。ワインディングに持っていけば、ロールのしない正しい姿勢。どうもこれは、アンチロール機能が働いているせいらしい。的確だ。いや、的確すぎる。SUVなんだもの、もう少しゆるゆる走らせてくれてもいいんじゃないの?
全幅1850mmは、少し前ならおでぶサイズ。でもいまや日本のSUVのなかでは標準サイズ。どちらかというとコンパクトにすら思えてしまうから時代の流れは恐ろしい。このサイズでこの乗り心地はかなり惹かれる。久しぶりにテントでも引っ張り出して、狭い日本の高速道路を端っこまで走りたい気分である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省安全基準検討会検討員他、委員を兼任。