【池原照雄の単眼複眼】HV復活の日産、量販タイプの登場は?

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フーガ・ハイブリッドを発表する志賀COO
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HVも積極的に開発を進めている

日産自動車が『フーガ ハイブリッド』を11月2日に売り出す。自前の技術によるハイブリッド車(HV)としては2000年に100台を限定販売した『ティーノ・ハイブリッド』以来、10年ぶりだ。電気自動車(EV)で先行する日産だが、環境対応車でもうひとつの柱ができた。もっとも、まだ世界市場でHVは「ニッチ」という位置づけは変わらないようで、量販タイプの日本登場にはなお時間がかかりそうだ。

「電気自動車(EV)に大変力を入れているが、HVについても積極的な開発を進めている」。志賀俊之COOは26日のフーガHVの発表会見で、決してHVを軽視してきたわけではないと言わんばかりに、その取り組みぶりを説明した。

日産はティーノHVを商品化したものの、ルノーとの提携による再建途上で、開発の中断を余儀なくされた。そうした経緯を見てきただけに、HVの復活は「技術の日産」の復活とも志賀COOには映っているようだ。発表会見では「実用化は困難とされてきたが(開発陣は)乗り越えた」と一時期、苦渋を味わった開発スタッフへの配慮も見せた。

◆高級車でも19km/リットルの燃費性能

日産のHVシステムは、トヨタ自動車やホンダの方式と異なり、「エンジン−クラッチ−モーター−クラッチ−ATミッション(自動変速装置)」で構成する1モーター2クラッチ方式だ。フーガのようにFR車にレイアウトしやすい。

また、モーター走行の領域を伸ばせるように設定しており、フーガHVの場合、3.5リットルエンジンを搭載した高級車だが燃費は19.0km/リットルと、このクラスのHVでは最高レベルの性能だ。

ただし、最低価格のモデルでも577万5000円なので、国内では月間200台という控えめな販売計画にしている。海外では「インフィニティ」ブランドで北米や欧州などに投入する。それでも世界市場で月1000台程度の見込みなのだろう。

◆HV人気は「日本だけの現象」

このHVシステムについて、日産は「FF車や直列4気筒エンジン、またCVT(無断変速装置)にもマッチできる。システムはシンプルなので、割と短期間での開発も可能」(大伴彰裕執行役員)と説明している。実際、いくつかのサイズのモデルでも開発を進めているという。

だが、第2のHVモデルの投入時期になると、誰もが口をつぐむ。EVについては今年12月発売の『リーフ』に続き12年には商用車、13年にはインフィニティブランドなど商品展開をあらまし公表しているのとは好対照だ。開発投資には限りがあるので、当面はEV重視という路線になりそうだ。

日本ではHVが登録乗用車の1割を突破するようになったが、日産内では「現状では日本だけの現象」と指摘する幹部がほとんどだ。HVは「世界市場ではまだニッチ」というカルロス・ゴーン社長の持論が浸透している。『プリウス』や『インサイト』といった量販型の日産HV登場は、いまのところ見えてこない。

《池原照雄》

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