プリクラッシュブレーキ、停止状態の保持、全車速で追従可能となったクルーズコントロール、ペダル踏み間違えによる誤発進の防止など、確実に安全性や快適性に寄与する機能の数々を備えたことは大きな進歩だ。
停止後の再発進をステアリング上のスイッチだけでなく、アクセルを踏み込んでももとの速度に復帰させることができるようになるなど、より実情に即した改良が加えられたこともありがたい。
それとともに、加減速がとてもスムーズになり、同乗者がより不快感を覚えないように味付けされたクルーズコントロールの制御そのものの進化にも感心させられた。
発進の飛び出し感もなく、その後も極めてスムーズに加速するので、不意に頭を後ろに振られることもない。
そしてブレーキも、先行車に巧みに追従し、完全停止直前にはいったんブレーキ圧を抜いてカックンとならないようにするなど、難しい制御を理想に近い形でものにしている。
機能の拡充はもちろん、こうした基本的な部分の洗練にも目を向けたいところだ。
従来の半額である実質10万円プラスで、これほど有益な装備が選べるようになり、しかも設定が低価格モデルにも拡大されたのだから、可能な人は迷わず選ぶべきだ。
ただし、部品調達の関係で、依然としてサンルーフと同時に選ぶことができないのが難点。
もっと数が出れば事情が変わるかもしれないので、期待することにしよう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★★
岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年富山県滑川市生まれ。学習院大学卒業後、生来のクルマ好きが高じて自動車メディアの世界へ。自動車情報ビデオマガジンの編集部員、自動車専門誌の記者を経てフリーランスとして独立。ユーザー目線に立った視点と、幅広い守備範囲を自負し、「クルマ好きのプロ」として、近年は WEB媒体を中心に活動中。レスポンスの試乗コメントでは、他媒体では諸事情で書きにくい「本音」も吐露!?