【先進安全技術 比較試乗】シンプル&高性能だが使いやすい…スバル レガシィ

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新型アイサイトを装備するレガシィアウトバック。機構的にシンプル、かつ使い易い点が最大のメリットだろう
  • 新型アイサイトを装備するレガシィアウトバック。機構的にシンプル、かつ使い易い点が最大のメリットだろう
  • ルームミラー位置に取付けられたステレオカメラ
  • ステアリングに取付けられたスイッチだけでクルーズコントロールの設定、停止からの発進までおこなうことができる
  • メーターパネルには前車との距離、速度設定を表示する
  • 前車をとらえると車アイコンと「ピピッ」という音で教えてくれる
  • 大渋滞となった夕刻の湾岸道路。ノロノロ運転の中では完全停止&スイッチで発進できる機能が非常に役に立つ
  • 複雑な操作が必要なく、間違えにくいという点もアイサイトの利点だろう
  • デザイン・形状にも工夫が凝らされ、自然に車内に溶け込んでいる
ステレオカメラ制御による運転支援システム「アイサイトver.2」を搭載するスバル『レガシィ』、ハイテク満載の日産『フーガ』、緊急自動ブレーキをいち早く市販車に導入したボルボ『XC60』のクルーズコントロール機能を試し、3台の安全・快適性へのアプローチの違いを体感した。


◆シンプルで使いやすい新型アイサイト

スバルレガシィの「アイサイト」は、ミリ波レーダーなどを使わず、2個のCCDカメラを用いた立体画像認識のみで前車追従や自動ブレーキ制御を行うという、スバル独自の先進の安全システムだ。旧型レガシィにも搭載されていたが、5月18日より新型レガシィに設定された「アイサイトver.2」では、速度差30km/h以下の場合自動ブレーキにより衝突を回避、または衝突被害を軽減できる「プリクラッシュブレーキ」、また、追従から停止保持までを可能とした「全車速追従機能付クルーズコントロール」などを追加した。

このアイサイト、機構的には3車中もっともシンプルだが、精度は十分に高く、また非常に使いやすいシステムに仕上がっていた。プリクラッシュブレーキについては、あくまで緊急衝突回避システムのため公道で試すわけにはいかないので、今回は全車速追従機能付クルーズコントロールの使い勝手にスポットを当てた。

ドライブコースは湾岸幕張パーキングエリアから京葉道路宮野木インターチェンジで反対方向に乗り換えて再び湾岸道路に戻り、辰巳第2パーキングエリアまでを走るというものだったが、その大半が事故により大渋滞。全車速追従機能付クルーズコントロールを試すには絶好の機会だ。


◆渋滞中でもノーストレス、安心感のある仕上がり

今回試乗した「レガシィアウトバック」は、その渋滞の中をほとんどノーストレスで走ることが可能なクルマになっていた。ノロノロ運転でも全車速追従機能付クルーズコントロールを利用して前車を的確に追いかける。

クルーズコントロールの設定が非常に簡単、というのも大きなメリットだ。システムのオン/オフ、追従速度の調整、前車との距離設定を全てステアリングのスイッチだけで操作できる。ブレーキやスロットルの制御によっては危ない!と感じられそうな距離だが、実際にはヒヤリとすることはまずなかった。前車を認識、または対象をロストするとメーターパネル内のアイコンと音で知らせてくれるのもわかりやすく、安心感につながる。

追従停止後もブレーキは連続してかかり、前車が動いたらステアリングのクルコンスイッチをONにすると、再び前車に追従して走り始めるのだ。全車速追従機能付クルーズコントロールのほかにも、前方に障害物がある場合に、アクセルを間違って踏んでも、踏み間違いではないかと判断して出力を制御する「AT誤発進抑制制御」も装備されている。高速道路の渋滞などで前車追従を煩雑な操作なしに行うという点では、現在売られているクルマのなかで唯一使い物になるシステムと言っても過言ではない。

今回、「全車速追従機能付クルーズコントロール」を試すにはちょうど条件が良く、結局1時間ほど続いた渋滞中、アクセルやブレーキを自分で操作する必要があったのは、多くのクルマが複雑に入り交う料金所の1箇所のみだった。車線変更時にもスムーズに前車をとらえ加減速をおこなってくれるため、ペダル操作はほとんど必要なかった。通常走行時も前車との車間距離調整などは安心感の持てる仕上がりだったが、カーナビとクルコンが連動していないため、インターチェンジのカーブなどでは自分で減速する必要があった。これを改善すればさらにアイサイトの価値は高まるともいえる。


◆ユーザーインターフェースに差が出た3台

今回試乗した3モデルをはじめ、新技術が続々登場している新世代クルーズコントロール。が、不確定要素の多い道路上でアクセル、ブレーキ操作の自動化を安全かつ確実に行うという点では、まだ入り口に立った段階でしかないのも事実だ。路上で機械がきちんと状況を判定し、前車を認識しているか、また前車に合わせて加減速できているか――等々、機器の状態に常に神経を研ぎ澄ましている必要があるのは3車とも五十歩百歩。旅客機のオートクルーズのように、時たまアラートが出たとき以外はほとんど放置していても大丈夫というレベルからは程遠い。

そう考えると、現状はあくまでも運転をアシストするシステムであり、ドライバーの過信は絶対に避けたいところだ。

差が出たのは人間工学面の熟成度合い。ドライバーがこれまで自分で行っていた運転操作を機械に委ねるには、どのようなインフォメーションを出し、ドライバーが機械にどのような手順で指令を出すのが一番自然に感じられるか、自動車メーカーではさんざん研究しているはずなのだが、実際に使ってみると違和感は小さくなく、難しい部分であることがわかる。

試乗した3モデルの中で、その部分が最も優れていたのはスバルレガシィのアイサイトだ。巡航速度の設定、渋滞中に停止した時からの復帰など、ほとんどの操作はステアリングのスイッチのみとシンプルで、一度経験すれば生理的に間違えにくいようになっていたことは高く評価されていいポイントだ。

今後、前車追従クルーズコントロールの技術はさらに進化を遂げて行く見通しだ。将来的には事故を未然に防ぐシステムの心臓部分を担うことになる中核技術であるだけに、大切に育ててほしいところである。
《井元康一郎》

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