【VW ゴルフR 試乗】ポルシェイーターと実感…河村康彦

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ゴルフR
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姿カタチは紛う事なき『ゴルフ』。けれども、ひとたび走ればそこではビックリ仰天の“ポルシェ・イーター”。「ゴルフR」とは、要はそんなキャラクターを秘めた一台。

「スポーティなゴルフ」と来れば「GTI」という名前を思い浮かべる人は多だろうが、6.9秒と5.5秒という0-100km/h加速タイムを比べるまでもなく、「最速のゴルフ」という表現が当てはまるのは間違いなくこちらのRの方。

そんなゴルフRの“速さ”は、単に加速の分野だけに留まっていないのが凄いところ。ブレーキのタッチは「ポルシェ車もかくや」というほど剛性感と信頼感に富んだものだし、ロールをとことん抑えた脚のセッティングは4WDシステムの採用と相まって「脱兎のごとき俊敏なコーナー立ち上がり」を実現。

もっとも、可変減衰力ダンパーのスイッチをどのポジションにセットしようとも上下のGはそれなりに強く、静粛性も特に高いとは言えないので、ゲストにとってのこのモデルの評価は、むしろ他のゴルフ・シリーズよりも厳しいものになってしまうかも。

というわけで、『ボクスターS』や『ケイマンS』には逃げ切られる可能性はあるものの、相手が“素”のボクスターやケイマンであれば、まず問題なく捉える事が出来そうなのがこのモデルの速さというもの。

もっとも、1530kgという車両重量の中で950kg分は前輪側の負担になるゆえ、コーナリング・フォームはどうしても“アンダー寄り”というのが特徴であるのもまた確か。コーナリングが充分に速い事は間違いないけれど、終始消えないそんな“頭でっかち感”は、スポーツ派のドライバーにとってはやはり気になるものかも。

ところで、前任モデルの『R32』に対して、エンジンが6気筒から4気筒ターボへと変更になったのが最大の見所でもあるこのモデル。効率と合理性からすれば、VWが推進する“ダウンサイズ・コンセプト”が大きな効果をもたらしているのは否定出来ない。けれども、「やっぱり4気筒」という印象が色濃いこのモデルのエンジン・フィールを教えられると、『R32』が積んでいた6気筒の方が“エンタメ性”が強かったなぁ…と懐かしく思えるのもまた事実。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

河村康彦|モータージャーナリスト
1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。ワールド・カーオブザイヤー選考委員、インターナショナル・エンジンオブザイヤー選考委員。

《河村康彦》

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