2009年のモーターサイクル・ロードレーシング世界選手権モトGPのチャンピオン、バレンティーノ・ロッシ選手は10日、スペイン・バレンシアサーキットにおいて、BMW『M3 GTS』をデモ走行させた。
バレンティーノ・ロッシ選手はイタリア出身の30歳。125cc、250cc、500ccとステップアップし、2002年に始まった2輪の世界最高峰レース「モトGP」で初代チャンピオンに輝くと、2005年までの3年連続でタイトルを獲得。2006 - 2007年はタイトルを逃すが、2008年は9勝、2009年は6勝を上げ、モトGPを制した。
BMWは1999年から、モトGPにセーフティーカーを提供。さらに2003年から「Mアワード」と称して、モトGPの優秀ドライバーに、BMWのMモデルを贈呈している。ロッシ選手には10日、彼にとっては5台目のM車となる『M3セダン』が贈呈されたが、M3の最強モデル『M3 GTS』に、大勢のファンの前でデモ走行する機会も設けられた。
M3 GTSは、モータースポーツから得たノウハウを応用して開発されたM3の高性能モデル。そのハイライトは軽量化にある。リアウインドウは、「マクロロン」と呼ばれるポリマーをグラスファイバーで強化した樹脂に変更。さらに、エアコン、オーディオ、ナビゲーション、リアシートを省略した。
この結果、M3 GTSは1490kgの車重を実現。ベース車両と比較して、140kgの軽量化を達成した。この軽量ボディに積むのが、排気量を400cc引き上げた4.4リットルV8。アルミ&シリコン合金製クランクケース、8スロットルなどの専用チューンを受け、最大出力はプラス30psの450psを発生する。トランスミッションはパドルシフト付き7速2ペダルMTの「Mデュアルクラッチ」。軽量なチタン製エグゾーストシステムも採用された。
足回りも強化されており、専用サスペンションシステムは、減衰力や車高の調整が可能。ブレーキは前6ピストン、後ろ4ピストンで、タイヤはフロント225/35ZR19、リア285/30ZR19を履く。アルミホイールも軽量タイプとなる。
外観はフロントにリップスポイラー、リアに大型ウイングを追加。どちらもサーキットの特性に合わせて、角度調整ができる。室内はロールケージ、6点式シートベルト、消火器、キルスイッチと、モータースポーツに必要なアイテムを装備。バケットシートも標準だ。
ロッシ選手は、このM3 GTSをバレンシアのファンの前でデモ走行。2輪だけでなく、4輪に乗り換えても華麗なテクニックを披露した。
M3 GTSは2010年5月、ドイツで販売開始。その後、夏頃には他の国へも投入される。ドイツでの価格は、11万5000ユーロ(約1520万円)。サーキット仕様でありながら、公道走行に必要な法規も満たすM3 GTSを、ロッシ選手は気に入った様子。さっそくオーダーを入れるつもりだという。