【池原照雄の単眼複眼】予想外に好転した第1四半期業績

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迅速なコスト対策が奏功

自動車メーカーの10年3月期第1四半期(4 - 6月期)業績は、おおむね各社の想定を上回って好転した。営業損益で黒字を確保できるのはスズキとダイハツ工業のみと見ていたが、この2社に加えてホンダと日産自動車も黒字スタートとなった。

為替が期首時点の予想より円安に触れた(前年同期比では円高)ことや、各国の需要刺激策などが好転の背景にあるが、広告など販売費を中心とした経費削減も大きい。09年3月期の第4四半期を底に、このまま浮上するかどうかは予断を許さないが、あらゆるコストを徹底して見直す危機対応の迅速さが奏功している。

営業利益で251億円を確保したホンダ、同116億円の日産はいずれも、第1四半期は赤字予想だった。また、営業損益が赤字となった企業も、「予想以上に赤字は圧縮できた」(マツダの尾崎清専務)ところが少なくなかった。

トヨタ自動車は1949億円の営業赤字となったものの、6825億円に及んだ前期第4四半期の赤字から大きく圧縮した。期首に通期8500億円としていた営業赤字予想は1000億円改善へと上方修正した。

◆「リース残価」の重しが取れる

四半期ベースで黒字転換したホンダの場合、アジアで2輪車が好調だったほか、北米を中心に調達資金の金利が低下するなど金融事業の好転が大きかった。為替も1ドル=95円の前提に対し、同97円となって円高による減益影響を緩和させた。

北米の需要は依然として低迷しているものの、中古車相場の下げ止まりにより、前年同期にあったリース残価下落の引当金が消えたことも大手各社には効いた。日産の場合、営業利益を450億円も改善する要因となっている。

こうした為替、金融事業といった外部要因に左右されるところに順風が吹いたわけだが、自助努力の領域でも「販売費を中心とするコスト低減効果が加速」(ホンダの近藤広一副社長)するなど、業績改善に結びつけた。

◆トヨタは「収益改善」を1000億円上乗せ

トヨタは今期、原価低減と固定費削減による「緊急収益改善」で8000億円の達成を掲げていたが、「さらに1000億円の改善にメドがついた」(伊地知隆彦専務)として、目標を9000億円にかさ上げした。

第1四半期では各社の在庫調整も大幅に進んだ。調整が遅れ気味の企業も今月中には完了の見通しだ。身軽になる分、7 - 9月期は生産の回復も着実に進む。

各社の業績を左右する米国の新車市場は買い替えインセンティブの効果もあって、7月は年率1124万台と今年に入って初めて大台に乗せた。このまま「自律回復につながるか、まだ先が読めない」(トヨタの伊地知専務)ものの、この市場の視界がようやく広がってきたことは確かだ。

《池原照雄》

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