モニター視野角向上と、12セグで“粘る”地デジへ
----:映像面でのスペック向上はいかがでしょうか。
枝久保:08モデルではユニットの中に12セグ+1セグの地デジチューナーを内蔵することに注力しました。09モデルではモニターの視野角を調整しています。具体的には、液晶パネルの設置方向を従来と反対とすることで、上からも明るくはっきりと液晶が見えるようになりました。特にナビを下の方に設置した場合に効果を発揮します。
----:地デジ関連の技術進歩は非常に早いですね。
枝久保:お客様から「野球のスコアが見たいのに、あるエリアに来ると1セグになって見られない」という声があって、ならば試合終了まで映像が見られるようにしようと(笑)。チューナーの受信感度アップを図り、特に12セグで見られる範囲を広げ“粘る”ように工夫しました。
◆スマートループの予告サービスを順次スタート
----:では次に、ソフトウェアを担当された田中さんにお聞きします。田中さんにとっての09サイバーで実現すべき課題は何でしたか。
田中:一番は、スマートループの推進ですね。まず情報の更新頻度を上げたい。それにともなって、ブレインユニットをご自宅に持って帰っていただいて、もっと利用していただきたいということです。
----:Webからのプローブ情報のフィードバックではどのような情報を集めているのですか。
田中:ブレインユニットに蓄積された走行履歴情報をアップロードすることで、ドライブの履歴や、エコドライブ、安全運転の度合いなど、走行の振る舞いを収集するというもので、昨年モデルから対応しています。またユーザー専用のブログサービスで訪れた場所などをサイバーナビユーザー同士で共有したりできる「スマートループ・ドットログ」といったサービスも2007年から始めています。
----:ハードウェアの進化は2年に1度ですが、ソフトウェアは常に進化しつづけることができます。ですがそれを考慮しても、スマートループに代表されるカロッツェリアのwebサービスの進化は目まぐるしいですね。本来ならば新しいハードウェアのリリースに合わせて、と考えてもおかしくはないのですが、もったいぶらずに出すあたりはさすがです。
枝久保:ハードウェアをモデルチェンジするためには時間的な制約がソフトウェア以上にありますので、見た目を大幅に変えるというのは難しいのが正直なところです。ソフトウェアにおいては、Webを活用して新機能を加えていくことで、常に進化するサイバーナビを提供できればと思っています。Webでのサービスの進化によってこれまでのユーザーもサポートしていくことが可能になりますから。
◆スマートループ渋滞情報の対象道路は70万kmに
----:スマートループを立ち上げて4年目になると思いますが、このコンセプトは定着した感があります。
田中:スマートループのコンセプトは「知の共有」ですので、集合知による情報の付加価値をどんどん広げていくというのは基本路線です。今年に関しては、スマートループの一番大きな機能である渋滞情報をより充実させています。具体的には、スマートループ渋滞情報の配信対象に整備し、充実した渋滞情報を無駄なく表示する為に細街路を除く全道路、延長距離にして約70万kmを配信対象としています。サイバーナビでは、リアルタイムプローブだけでなく、ユーザーがアップロードした蓄積型プローブやVICSの統計データ、さらに独自アルゴリズムの渋滞予測も加えて最適なルートを提供します。
渋滞情報の増加に対応して計算も高速化、従来並みの探索時間
----:膨大の渋滞情報のデータが得られるということのメリットについて、具体的にお聞かせください。
田中:あらゆる道で渋滞情報が取れるということは、それぞれの道をどれくらいの時間で通過できるのか、という情報も同時に得られます。したがって、より短時間で通れるルートを高い精度をもって提供することが可能になります。
----:渋滞情報を参照する対象の道路が大幅に増え、ルート探索時の処理は重くなりませんか。
田中:扱う情報が増えて高精度なルートを出せるようになっても、ルートを出すための計算に何十秒も費やすようではナビゲーションの機能として劣化したことになります。09サイバーではアルゴリズムを調整し計算スピードを上げることでルートを導き出すまでの計算時間は従来相当としています。