エンジンの制御技術を生かすことで
もっと燃費・環境方向にシフトできる
相坂:世界中で走っているAセグメントのクルマは300-350万台。そのうち日本車が占める台数が200万台くらい。最近思うのは、これから軽自動車が世界で通用する時代がやってくるのではないかということです。実際、安全性能をはじめ、あらゆる技術が追いついてきて「軽でもいい」ではなく「軽がいい」といえるレベルに達したと思っています。次は燃費。これをキチンとやらないと「軽はいいでしょう!」とはいえません。
清水:98年の軽自動車の規格改正にさかのぼれば、まずは衝突安全性を小型車並みにしようというところから、ダイハツはこの世界を変えた第一人者だと思います。それが一段落して、新しいパワートレーンに対する価値がユーザーから求められるようになってきました。パフォーマンスというか……もはや「軽だから走らなくてもいい」という時代ではなくなってきていますね。
相坂:最近では、軽自動車=我慢グルマというイメージはお客様の中にはなくなってきていると思いますし、我々も環境を含めた今までの社会情勢の中で、満足のいく答えを出せていると思います。しかし、最近のガソリン代の高騰を受けて燃費性能へのニーズは、よりいっそう増している。たくさんのユーザーの方に満足していただくには、まだまだクリアしなければならない問題が残されているのが実情です。
清水:一般的に、大きく、重くなったいっぽう、660ccという小さな排気量の軽自動車は、パワーウエイトレシオの面で燃費に不利だという考えがあります。私は、この考え方は誤りで、要は効率の問題、660ccでじゅうぶんだと思うのですが、いかがでしょう?
相坂:たしかに、単純にパワーウエイトレシオだけで見ると軽自動車の不利さは否めません。また、加速を目的に軽自動車はローギヤード(エンジン回転が高くなる)になっているので、この点も燃費には厳しい要素です。しかし、清水さんがいわれるように、エンジンの熱効率を上げることでパワーと燃費を両立させることができる。アクセルを踏んだほうが燃料ロスが少ない領域=ポンピングロスを上手に使う必要があるのですが、これも制御技術でクリアできていますし、ボディの大きさや重さ、また小排気量を大きなハンデとして感じたことはとくにありません。