アウディは『R8』でスポーツカーの“エレガント”な世界を創った。アウディはブランドイメージを「スポーツ」、「流麗」な方向へステップアップさせようとしている。東京モーターショーで日本初公開した『A5』はそれを最も色濃く反映した1台。
アウディAGデザインマネージャーの和田智氏は、「A5はヨーロッパの“ピュア”GTを狙っています。流麗でいて、バカンスに耐えうるトランクを確保されたものです。『TT』と差異化を図るためにも、A5はきちんと4人乗れるものにしました。そして優雅な世界や、アウディの持つインテリジェントな印象を持たせ、提案しているのです」と語る。
「アウディのスポーツ&GTカーのラインナップの頂点には、『R8』があり、A5、TTとつながっています。『A4』などのセダン群とはイメージの方向性が分かれているのです。セダン、GT共にスポーティな方向性のデザインに振っていくのに、かつてのアウディにイメージを求めたわけです」
「途中で折れの入ったCピラーのデザインは、往年の名車“ビッグクワトロ”に因んだもの。スポイラーのように、後端をつまんだトランクリッドもモチーフは同じ。DNAを大切にデザインしているのです」
「この車の特徴であるフェンダーラインはクワトロを意識したものです。ビッグクワトロはブリスターフェンダーでしたが、あれはそのまま使えないから、ボディとの相貫線である山なりのカーブをサイドビューで再現しています」
「このカーブは、ホイールセンタを軸にピークが前寄りになっています。ルーフラインに関しても、これと曲率の近いカーブで構成されています」と、言った。随所で“尻下がり”のアウディのムーブメントを統一しているということであった。
左右二分割のバンパー下部の“エラ”は、法規をクリアするためのもの。「プランビューで見て30度後退しています。かつ、サイドビューで見て前方に突き出しており、歩行者保護に貢献しています。スポイラーにも見えるが、そうではないんです」と言った。
これは、『A4』とも共通のイメージで、『メトロプロジェクト・クワトロ』のヘッドランプまわりの造形にもつながっており、アウディのファミリーフィーリングのひとつにもなっているようだ。