【池原照雄の単眼複眼】勝っても負けてもサーキットが一体になる「8耐」

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30年目の真夏の風物詩

1978年の開始以来、30周年を迎えた鈴鹿サーキットの「8耐」(鈴鹿8時間耐久ロードレース)を観戦した。レースは、スタート直後からトップに立ったヨシムラスズキの加賀山就臣/秋吉耕佑組が終始首位をキープしてそのままゴール、27年ぶり3度目の優勝を飾った。

レース自体の盛り上がりはやや欠いたものの、第1回大会を制した名門プライベーターチームの活躍に、レース後のサーキットは何とも言えない暖かいムードに包まれた。世界耐久選手権シリーズという権威あるレースでもあるのだが、真夏の風物詩となったモータースポーツの魅力を改めて実感させられた。

ホンダ関係者によると、今年のレースは第1回大会を再現するような展開だったという。30年前に初代王者となったヨシムラの監督だった吉村秀雄氏(故人)の長男、吉村不二雄氏が総監督、孫の加藤陽平氏が監督というチームだけに、8耐の歴史の重みもクローズアップされた。

◆すべての観客がライダーを讃える

午後7時30分。第1コーナーの上空に満月が顔を出すなか、8時間のレースが幕を閉じた。ピットに帰って来るライダーたちには、すべての観客やピットクルーから拍手が送られる。そこには勝者も敗者もなく、サーキットが一体となる瞬間だ。

メーカーとしての11連覇がかかったホンダは、ワークスチームの岡田忠之/カルロス・チェカ組がポールポジションからのスタートとなったものの、スタート手順違反で30秒停止のペナルティが課せられ、2位に浮上するのが精一杯だった。

また、やはり優勝候補の一角に挙げられていた清成龍一/ジェームス・トーズランド組は、序盤でトーズランドが転倒し、リタイアを余儀なくされた。

◆F1は富士に移ったものの…

レース後、ホンダの2輪事業を担当する原田実専務は、「負けたのは残念だが、ヨシムラスズキさんは素晴らしかった。プライベーターの活躍は8耐を盛り上げることにもつながる。敬意を表したい」と、率直に勝者にエールを送った。悔しさ一杯なのだろうが、8耐ならではのエールだった。

鈴鹿サーキットは、今期からF1の日本グランプリが富士スピードウェイに移るため、しばらくは8耐が最大の動員を確保できるイベントとなる。だが、8耐の魅力が失われない限り、モータースポーツファンの「スズカ」への愛着も消えることはないだろう。

《池原照雄》

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