【池原照雄の単眼複眼】トヨタと日産で好対照…バルブリフト連続可変技術の「使い方」

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量販車 VS ハイパフォーマンスカー

日産自動車が今秋に実用化する吸気バルブリフト量を連続可変制御する「VVEL」の技術発表を行った。日本車としてはトヨタ自動車が新型『ヴォクシー』『ノア』で採用した「バルブマチック」に次ぐ実用化となるが、両社のこの技術の使い方は対照的なものとなった。

日産は今秋に発売する新型『スカイラインクーペ』にVVELを採用したV6型エンジンを搭載する。排気量3.7リットルのハイパフォーマンスエンジンとなる。これに対してトヨタは、シリーズで国内最量販のミニバンに採用。エンジンも直4型2.0リットルと普及タイプで、レスポンスと燃費のバランスを追求した格好だ。

同じバルブリフト連続可変システムではあるものの、機構は相当異なる。モーターを制御用のアクチュエーターとしているのは共通だが、トヨタのバブルマチックはギアを駆使し、軽量・コンパクトなシステムとした。

◆複雑だがリフト量の大きい日産「VVEL」

日産のVVELは、モーターで制御される「コントロールシャフト」とバルブを作動させる「ドライブシャフト」を2種類のリンク部品で連結させるなど、機構はバルブマチックより複雑である。

最高7500rpmの「高回転エンジンとして最適の設計にした」(日産パワートレイン開発本部)ことから、部品点数も多めになったようだ。その分、制御できるバルブのリフト量は、VVELの方が大きい。

バルブマチックが1mmから11mmとなっているのに対し、VVELは0.7mmから13mmの幅だ。最大リフト量が大きいと、アクセルレスポンスや高回転域でのトルクを、より高めることができる。この点からも、VVELは走行パフォーマンス重視といえる。

◆内燃機関の環境技術として幅広い可能性

一方のバルブマチックエンジンを搭載したヴォクシー/ノアの10・15モード燃費は14.2km/リットルで、従来のエンジンを搭載した旧型車より約8%向上させた。コンパクトでコスト面でもあまり割高にならないシステムとし、走りだけでなく経済性にも重きを置いた。

もちろん、VVELも燃費や排ガスのクリーン化性能を高めることができる。燃費性能はエンジン単体ベースで「8−10%」向上するという。また、始動時の燃焼を安定させることにより、触媒を早期に活性化、排ガスのクリーン化にもつなげていく。

両社の「使い方」の違いは、バルブリフト連続可変システムが幅広い可能性をもっていることの証でもある。内燃機関の環境性能を高める主力技術として、今後、搭載エンジンのバリエーションも増えることになろう。

《池原照雄》

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