新型『ムーヴ』に乗って最初に驚くのが、軽自動車とは思えないほど広いリヤシートだ。新型ムーヴは、このパッケージングを実現するためにプラットフォームを一新し、『タント』並みのロングホイールベースを採用している。
背の高いムーヴにロングホイールベースを採用すると重心が高くなり、走りは不安定になりがちだが、ムーヴはそれを上手く打ち消している。とくに引き締まった足まわりを採用するターボのカスタムは、安定感のある走りを見せてくれる。
ターボとNAの両方のエンジンに4速ATとCVTが設定されているが、オススメはCVT。車両価格は7万−10万円高くはなるが、加速力やレスポンスの鋭さはCVTに分がある。『ソニカ』のときには気になったCVTの金属音も、ムーヴでは完全に解消されている。
デザイン的には丸くなっているので、先代を支持する人もいるようだが、パッケージングや動力性能に関しては、現在の軽自動車ではナンバーワンの実力だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★☆
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★★★
岡島裕二 | モータージャーナリスト
20代前半にレースの参戦資金調達のために自動車専門誌出版社に勤務。その後ウェブ編集者を経て、2003年よりフリーモータージャーナリストに転身。レース経験を生かした試乗インプレッションと、貧乏生活から芽生えた価値観をもとに、クルマの本質を鋭く分析。