【池原照雄の単眼複眼】レクサス、『LS』投入もライバルの壁は厚い

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【池原照雄の単眼複眼】レクサス、『LS』投入もライバルの壁は厚い
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いつの間にか3万台に下方修正

トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」に19日、待望のフラッグシップ『LS460』が加わった。発売前の予約が9000人を突破、渡辺捷昭社長は年内1万台程度の販売見通しを示した。モデルサイクルでの平均目標が月1300台だから、その2倍以上のスタートダッシュとなる。これでレクサスも一気に浮上と行きたいところだろうが、トヨタにはむしろ慎重さが目立つ。

慎重その1。今年の国内市場でのレクサス販売目標は、明確なアナウンスもないまま、いつの間にか下方修正の「3万台」になってしまった。年初には「4万台程度」が公式見解だったので、大幅な下ぶれだ。別に記者会見して発表すべきことでもないので、それはそれでいいのだが……。

◆誤算続きで現実を直視

慎重その2。LSも1年前より、販売計画が弱気方向に見直されている。レクサスが営業開始した昨年8月、国内営業の首脳は「1年後に投入のLSは月2000台の計画」と明言していた。しかし、発売されたLS460の計画は月1300台。来春に投入されるハイブリッドのLSは月200台の計画というから、LSシリーズ合計で1500台となる。

営業開始から丸1年が経過したレクサスは、トヨタ自身も手探り状態で販売目標を掲げたので、結果的には誤算の連続だった。05年の実績は計画の2万台に対して1万台余り。LSが加わる今年は、年初に前述の4万台を掲げていた。相次ぐ修正値は、ようやく「現実」を直視してきたということだろう。

◆セルシオの保有台数はすごいが

先発隊として投入された『GS』と『IS』はフラッグシップ不在の中で健闘してきたものの、欧州車を中心とする他メーカーからの代替需要は「1割前後」(笹津恭士副社長)にとどまっている。トヨタユーザーに、利幅の大きいプレミアムブランドへと上級移行してもらっているというのが実情だ。

『LS』の国内前身モデルであるトヨタ『セルシオ』は、保有ユーザーが実に30万台規模にのぼっているという。巨大な母体であり、そのユーザーを地道に『LS』に導くだけでもレクサスの未来は明るい。

ただし、グループ内での上級移行に頼っていたのでは、プレミアムの牙城である欧州車を脅かす存在にはなれない。足元を見つめ直して販売計画を抑制したのは、渡辺社長流に言えば改めて「愚直に」ブランドの浸透に取り組むという決意でもある。

《池原照雄》

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