4 | ハードウエアの進化を表現できない |
しかし今回のフルモデルチェンジでは、「クールな走りのスタイル」にコンセプトを大きく変更した。ニッポン的「ニュータウン文化デザイン」では、演歌調と同様にあまりにドメスティックすぎて、世界に通用しないと判断したのだろうか。
発表会の場で、この思い切りの良い変身について早速デザイントップに伺ったところ、次のように明快にお答えいただいた。
「これまでのモダンデザイン路線では、ストリームのハードウエアの進化を充分表現できないところまで来た。これまでの美しさや都会的な装いに、さらにアグレッシブな存在感を加味して、造形の品質感をグレードアップした」
「ミニバンを超えた走りの性能を象徴する、コックピット風な機能的デザインには、装飾性の強いクロームメッキや木目の多用はそぐわない。目的をより鮮明に打ち出したつもりである」
「エクステリアも同様に、装飾的なクロームのトリム類を廃し、力強い精悍さをダイレクトに表現したインパクトある造形に進化させた」とのことである。
カリスマ経営者に率いられた日産が「モダンリビング」を表明し、マツダがzoom-zoomで「走りのミニバン」を定着させつつある。いつの間にか再建組が揃ってホンダの牙城を脅かしている状況なのだ。
こうなった場合、追われる立場のホンダとしては正攻法で守るのが最も効果的である。そして、ブランドイメージを最大限に強調することでライバルの引き離しを図った。つまり、「The Power of Dreams」、F1テクノロジーを頂点とした、ホンダの原点である「走り」に回帰したのである。そして今後の機種展開は不明だが、ホンダの看板の一枚であるストリームを、真っ先に原点回帰させたのだ。