2004年に乗った日本車で、いちばんビックリしたのがこれである。来年からハンガリーの工場で生産する本格的な対欧戦略モデルだ。
スズキというのは、およそムダ金を使わないメーカーで、国内専用の軽自動車などは徹底して“見切って”くる。「そんな性能、日本じゃ使わないでしょ」とばかり、オーバークオリティを見事に排除する。そういうリーンな姿勢がスズキの“らしさ”でもあるのだが、これはじつに「脱スズキ」である。
軽に手を加えた従来の『スイフト』とはまったく違う。ボディにはVW『ゴルフ』のような剛性感があるし、乗り心地はしっとり落ち着いている。ダッシュボードなど、内装の造形や質感は、この方面の出来を声高に主張しているマツダ『ベリーサ』や日産『ティーダ』などより上だと思う。端整な5ドアボディのデザインもいい。WRC(世界ラリー選手権)も楽しみだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★★☆
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★★☆
下野康史| モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集部を経て、モータージャーナリストに転身。現在はクルマ雑誌を始め、週刊誌のコラムなど幅広く執筆活動を行っている。親しみやすい文体のなかに見える、鋭い着眼点や独特の語り口にファンは多い。