★イタリア娘がドイツの主婦に変身
輸入車販売数ナンバーワンの『ゴルフ』は、知的で堅実なライフスタイルを表現する生活用品として、日本の日常生活にすっかり馴染んでいる。金持ちやオタクのための輸入車が多いなかで、それらとは一味違う輸入外車として貴重だ。
1974年にデビューした初代ゴルフは、それまでの乗用車のデザインでは見られない、直線と平坦な面構成の角張った2ボックススタイルでデビューしたが、端正で折り紙細工のようなカタチは日本の美意識に相通ずるところもあり評判は良かった。北米では不評となったが、日欧ではビートル以来の成功となり世界的にもゴルフの名前を不動のものとした。
そんな衝撃的なデビューの初代以降のモデルは、贅沢な時代の風潮を反映したサイズの拡大や装備の充実以外、デザイン的には語るのが難しいくらい変化の少ない退屈なモデルチェンジを繰り返してきた。
唯一デザインの変更といえば面が交差するシャープな稜線の角Rをひたすら大きくするくらいであったが、イタリア生まれのスリムで生硬な娘も、徐々にドイツ育ちの豊満な主婦となり、いつの間にかゴルフのブランドも確立していたという、瓢箪から駒のようなラッキーな結果となった。
5代目となる新型ゴルフも従来のモデルチェンジと基本的には同じやり方なのだが、スピード感のある印象はお洒落で一皮向けた感となり、プジョー『307』やアウディ『A3』などと顧客争奪競争が可能となった。
その秘密は従来の角アールを大きくする方法をやめて、曲率変化の強いカーブと面を使ったことにある。この路線は先に現行メルセデスベンツ『Cクラス』に始まったデザイン手法と似て、一般受けはするがそのぶん薄味になってしまったことはいなめない。グローバル化のなせる業とでも云えるのであろうか、少し惜しい気がする。
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