気になるニュース・気になる内幕——朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
景気も天気も日本列島が凍りつくほどの寒気に包まれながら2002年が明けた。まずは、新年おめでとうございます。今年も「新聞ウォッチ」をどうぞよろしく。
2002年1月1日付スペシャル
さて、例年元旦に配達される新聞は、別刷りを含めページ数が多い。今年は120ページにも及ぶ日経を筆頭に、読売が112ページ、朝日96ページ、毎日、産経が88ページなど、記事の質はともかく読みきれないほどのボリュームだ。年末に仕込んだ企画ネタとはいえ、筆者のような“巣ごもり組”にとっては充分暇つぶしになった。
それにしても、今年5月に日韓共催のサッカー・ワールドカップの話題と欧州通貨「ユーロ」開始を除けば、「国際社会が受けた衝撃は消えず、傷跡は今も癒えない」(毎日・1面トップ)というテロ事件関連をはじめ、「高失業時代の生き方」(朝日・13面)などと、年が明けても相変わらず暗いネタを扱った特集が目立つ。「首相の“改革”次は何」(朝日・4面)と、改革の旗を掲げる小泉首相がこのまま政局をリードしていけるかどうかを探る特集も多くみられたが、デフレ、株安、倒産、高失業率では明るい展望は期待薄。
ただ、夢を抱くような明るい記事が少ないなかで、産経の1面トップは10-15年先のことだが「日本製シャトル宇宙へ」、さらに、別刷り特集で「ITライフ次代へ加速」というタイトルで、ITを駆使した自動車、ロボットの本格的な市場創出が目前に迫っていることを取り上げている。特に、自動車分野ではパソコンと組み込む無線通信機能を持つ「テレマティックス」と呼ばれる自動車向けの新しい情報提供サービスの高度化が進むことを紹介している。
だが、大半の読者は近未来の夢を追うよりも一寸先も見えぬ明日をどう生きのびるかという目先の記事に目を向けざるを得ない。そこで、トヨタ自動車の元町工場長らを登場させた「甦れニッポン、2002年からの再出発」(日経・7面)などは、不安のうちにも死に物狂いで希望を見いだそうとする現場からの声を伝える読み応えのある特集だった。
2002年の主役といえば、新しい“財界総理”となる奥田碩・トヨタ自動車会長(日経連会長)である。「今年はそんなに悲観的になることはない」と、奥田会長のインタビューを各紙が元旦に掲載(産経は5日付朝刊)。「後半は米国経済の回復が期待され、日本経済もその流れに引きずられ回復基調に向かう」という理由からだ。ただ、成長率になると「0%近くにしかならず、上下しても0.5%の幅」と予測は厳しい。
自動車市場については「まだまだ伸びる余地が十分あり、技術革新の可能性も大きい」と前向きにとらえながらも「日本オリジナルの技術はほとんどないというのが実態。自動車においても楽観できない」と苦し紛れに結んでいる。さらに、気になる失業率については「やり方によってはワークシェアリングで急激な上昇は避けられる」と述べるとともに、「今の日本の企業やサラリーマンはがむしゃらさがない。闘争心を取り戻せ」などと叱咤激励も。
このほかの自動車関連の記事では、日経が「たくましい企業」という連載企画のトップバッターに巨人トヨタを脅かすホンダを元旦から連続4回で取り上げていた。そのホンダの『アコード』が米国市場における昨年の社名別乗用車販売で1位を獲得、吉野浩行社長は米ビジネスウィーク誌で「世界のトップ経営者」(4日付夕刊各紙)に選ばれた。
新年早々からホンダの明るいニュースは続いているようだが、逆に昨年はV字型回復や自叙伝の出版などで紙面を賑わせた日産のカルロス・ゴーン社長らの話題は影を潜めた。もっとも、ゴーン社長が年男(1954年生まれ)というのを4日付の日経夕刊には小さく掲載されていたが……。