ニュージーランドでのレースは「雨の中で開かれるのが常」として、各チームがレインセッティングを中心とした準備を続けてきたが、今年のレースは曇り空の中、ドライコンディションでレースが始まった。雨であれば路面が安定したうちに走りぬけられるので、スタート順の早いドライバーが有利だが、今回は逆の展開。早くスタートしたドライバーほど粒子の細かい砂に泣かされることになる。その影響を最も受けてしまったのが三菱勢だった。
砂の影響なのか、それとも違う原因なのか、三菱『ランサー』は揃ったようにデファレンシャル系の電子デバイスが不調を訴え、安定走行ができなくなっていた。このトラブルは初日だけでなく、豪雨となった2日目にも頻発。スバル『インプレッサ』や、フォード『フォーカス』が安定した走りで次々にSSをクリアしていく中、三菱だけが低迷していた。原因がクルマ、しかも自分たちが状態を把握できない電子部品が相手だけに、各ドライバーのイライラは増す一方だった。
最終日、今度はスバル勢にデバイストラブルが襲いかかった。SS終了後、バーンズがステアリング系統に異常を訴えたためチェック開始。続いて入ってきたカンクネンも同様の不調を訴える。突然の事態にスバルのメカニックたちは大慌て。なんとか応急手当を施し、エンジンをスタートさせようとするが…、今度はエンジンが動かない!!結局、次のSSスタートに間に合わなくなってしまい、2台とも不本意なリタイアを余儀なくされてしまった。ドライバーズポイントを取れなかったバーンズはガックリ。
追い上げを目指していた三菱のマキネンは、ブレーキトラブルのため、減速しきれずにオーバースピードのままカーブに突っ込み、曲がりきれずにリアからガツン。フレームを損傷してしまう。ヨロヨロとSSまでたどり着いたものの、走行に危険があるとの判断でリタイアとなる。
結局、レースは最後まで調子の崩れなかったプジョー『206』のグロンホルムが優勝。2〜4位をフォード勢が独占するという結果になった。
日本人ドライバーは、初日に三菱の田口がリタイア。2日目にはスバルの新井がクラッシュ。一時は3輪走行をして粘ったもののリタイア。最高位はグループNの奴田原文雄で、総合20位でラリーを終えた。
ニュージーランドラリー最終成績
1. グロンホルム (プジョー206)
2. マクレー (フォード・フォーカス)
3. サインツ (フォード・フォーカス)
マニュファクチャラーズ・ポイント
1. スバル 58
2. フォード 57
3. プジョー 41
ドライバーズ・ポイント
1. バーンズ(スバル) 38
2. グロンホルム(プジョー) 34
3. マクレー(フォード) 30