日本自動車工業会の宗国旨英会長は17日、同日一斉に回答日を迎えた自動車メーカーの春闘について「賃金などの労働条件を統一的に引き上げる交渉の場から大きく変革したものと理解している」とのコメントを発表した。
三菱ふそうトラック・バスは、今春闘で労働組合からの年間一時金要求5.2カ月に対して5.0カ月プラスアルファを回答して妥結した。乗用車部門の三菱自動車の年間一時金は3.0カ月で妥結しており、大きな格差となった。
ヤマハ発動機の経営側は、労働組合がベア(ベースアップ)1000円を要求したのに対してベアゼロを回答した。コスト競争力を強化するため。同様にベアを要求した日産自動車は満額回答しており、明暗を分けた。年間一時金は過去最高額を満額回答した。
軽自動車の国内販売で首位スズキを追い上げているダイハツ工業は、年間一時金が5.5カ月の要求に対し、満額の回答となった。同社の一時金の満額回答は2001年春闘以来、3年ぶり。
自動車各社の2004年春闘交渉は17日午前から回答が始まり、日産自動車は年間一時金(要求6.0カ月)のほか、1000円のベースアップ(ベア)相当額を含む7000円の賃上げについても会社側が満額回答した。
春闘交渉が大詰めを迎えているが、ホンダの経営側は、年間一時金を過去最高の6.55カ月と回答することを決め、労組側に通告したと発表。組合要求の6.6カ月の満額ではなかったものの、これまで最高だった昨年実績の6.4カ月を上回る。
三菱自動車は、今春闘で年間一時金を過去最低の3.0カ月を支給することで妥結する見通しとなった。ただ、2004年9月中間連結決算の業績によっては最大で0.5カ月分を上乗せする条項を付ける。
トヨタ自動車は、今春闘で3回目となる労使交渉を行い、労働組合の要求に対して経営側から満額回答に前向きな発言があったことが明らかになった。17日の回答指定日で、満額回答して妥結する可能性が高い。
マツダは、5日に開催したマツダ労働組合との第2回労使交渉で、組合の要求の年間一時金5.3ヵ月を満額回答し、妥結した。
トヨタ自動車は、今春闘で、労組側の要求を満額回答する方針を固めたことが明らかになった。労組はベースアップ要求を2年連続で見送り、一時金も5カ月プラス53万円と前年実績よりも2万円減額して要求していたが、経営側はこれを受け入れた。
春闘の一時金要求は、トヨタ自動車が昨年の要求から減額する一方、グループのダイハツ工業、日野自動車の労組は国内販売の増加による業績好調を反映して要求を引き上げた。
ヤマハ発動機を含む自動車メーカー各社では18日、組合が一斉に要求書を提出したが、今年もベースアップ(ベア)見送りが大勢を占めた。制度維持分など定昇以外の賃上げ要求を出したのは、いずれも今期決算で最高利益更新となる日産自動車とヤマハ発動機のみとなった。
18日の要求提出でスタートした自動車春闘は、今年も焦点は一時金となる。この3月期決算で過去最高の連結業績をあげる自動車メーカーが相次ぐが、最大手のトヨタ自動車は業績連動の要求額を減額するなど、やや分かりづらい要求となった。
ヤマハ発動機労働組合は、今春闘で、1000円のベースアップ(ベア)を要求することを決めた。18日に会社側に要求書を提出する。自動車業界で、ベアを要求するのは日産自動車とヤマハ発動機の労組だけとなりそうだ。
ホンダの労働組合である本田技研労働組合は3日、今年の春闘の年間一時金要求を過去最高の6.6カ月とする方針を固めた。ベースアップ(ベア)要求は、2年連続で見送る。