床に近くペタンと座ると頭上20cm以上も空間が残る…など「小さな外形の中にじゅうぶんな居住空間」を真摯に追求した形跡皆無。「天井が(無駄に)高い軽が売れているから」だけの商品企画。
典型的なラテン系ベーシックカー。すなわち「論理的に構築されたパッケージングと、適度に心地よい内装と、リズムのよい走りを持つ」こと。
売れ筋になると思われる2.5リッター4気筒搭載モデルが期待していたよりよかった。何よりパワー的に不満ない。大柄なボディなれど、軽いせいだろう。当然3.5リッターV6仕様なら必要にしてじゅうぶんなパワーを持つ。
レンタカーを借りたら『JM』が出てきた、としよう。最初は「あらら」と不安を感じつつ乗り始めると、返すころにゃ「けっこういいクルマだったね!」。ただ自分のクルマとして買うかとなれば「そこまでの魅力はないかもしれません」という微妙なポジションだと思った。
右ハンドル仕様の3.2リッターに乗ると「まぁ、こんなもんでしょう」という仕上がり。ほとんどの輸入車に当てはまる事ながら(VWのみ例外)、初年度の右ハンドル仕様車は試作車のようなクオリティ。生産台数が極めて少ないのだから当然だろう。
366.5万円の“120i”という2リッター4気筒エンジン搭載車しか試乗していないのだけれど、同じ排気量のVW『ゴルフGT』(299.25万円)と比べ、すべての点でモノ足りない感じ。
65万円でエアコンやパワステ、運転席エアバッグまで標準装備しているベーシックグレードのマニュアル仕様に乗ると「これでじゅうぶんじゃないの!」と思う。普通に走り、少し柔らかすぎるけれど、キチンと曲がってくれる。
先代の『パンダ』と比べればグッと”普通”のクルマになったものの、やっぱり日本車より濃い味を持っている。クルマ全体の挙動がシャープでダイレクトなのだ。
最近、『パッソ/ブーン』や『ポルテ』といった自動車ジャーナリズムの外にあるクルマが増え始めた。『ムーヴラテ』もそう。乗れば決して不満を感じるワケじゃない。
個人的には「いけません」。重量増をともなうスライドドアを採用したため、動力性能が大いに物足りなくなってしまった。同じエンジンを搭載するヴィッツより150kg前後も重い! これ、15%もの重量増になるから深刻。