三菱ふそうトラック・バスと日野自動車の統合は、協議開始から6月10日の最終合意まで「2年間は驚くべき旅路。困難や行き詰まりもあったが、4社には共通のモチベーションがあった」と、三菱ふそうトラック・バスのカール・デッペン代表取締役社長・CEOは語る。
三菱ふそうと日野に加えて、三菱ふそうの親会社であるダイムラートラック、日野の親会社であるトヨタ自動車の4社は6月10日、三菱ふそうと日野を統合するための最終合意を締結し、同日に各社の代表が揃って記者会見に臨んだ。
統合により、三菱ふそうと日野は対等な立場で商用車の開発、調達、生産分野で協力する。新会社は両社を100%子会社とする持株会社として設立され、東京証券取引所プライム市場への上場を目指す。CEOには現三菱ふそうトラック・バスのデッペン社長が就任予定で、三菱ふそうCEOと兼任する。
●スピード感のある課題解決にはスケールメリットが必要
三菱ふそうのデッペン社長は「統合の検討を始めた2年前から、商用車事業の状況はさらに厳しくなった。例えば日本では2024年問題、海外市場では新興企業との競争がある。こうした問題を解決するためには、この業界ではスケールが重要で、多くのメーカーがあるのは現実的ではない。今度の統合は、業界全体、社会全体にとって喜ぶべきことであり、商用車の未来にとっても大きな意味がある」と語った。
日野自動車の小木曽聡代表取締役社長・CEOは「商用車メーカーの課題解決には、これまで以上のスピードと柔軟性、そして投資が必要。4社の協業はまさに『千載一遇の機会』だ」と述べた。
新体制では、ダイムラートラックとトヨタが統合後の上場持株会社の株式をそれぞれ25%保有する予定だ。ダイムラートラックのカリン・ラドストロムCEOは「統合は輸送の未来への大胆な一歩。自動車産業は歴史的な変革期にあり、多数の課題を同時に解決しなければならない。並行開発を経済的に行なうためにはスケールが必要。ダイムラーは大型車が得意だ。いっぽうグループ会社の三菱ふそうは小型車が得意だが、スケールメリットが限られていた。統合で一つのより強力な企業になる」と説明した。
