テスラの次なる進化、自動車からエネルギー・AI・ロボティクス企業へ…Undertones Consulting代表取締役 前田謙一郎氏[インタビュー]

テスラの次なる進化、自動車からエネルギー・AI・ロボティクス企業へ…Undertones Consulting代表取締役 前田謙一郎氏[インタビュー]
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  • 世界の自動車市場とテスラ最新動向~AI競争時代にグローバル競争を勝ち抜くマーケティングと経営戦略~  セミナー資料
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来たる3月14日、オンラインセミナー「世界の自動車市場とテスラ最新動向~AI競争時代にグローバル競争を勝ち抜くマーケティングと経営戦略~」が開催される。セミナーに登壇するのは、Undertones Consulting株式会社 代表取締役の前田謙一郎氏。

今回のセミナーは以下のテーマで進められる。

1. イントロダクションと経歴紹介
2. 2024年の世界自動車市場と電動化状況
3. テスラの最新動向と今後(新型モデル、FSD自動運転、人型ロボット、AI投資)
4. テスラ上海工場訪問と中国自動車市場
5. 日本企業に求められるマーケティング力と経営戦略
6. 質疑応答

セミナーの開催に先立ち、セミナーの見どころを前田氏に聞いた。

テスラの変容 – 規模の追求からエネルギー・AI・ロボティクスへ

テスラは、単なる自動車メーカーから、エネルギーとAIロボティクスカンパニーへと進化を遂げようとしている。Undertones Consulting株式会社 代表取締役の前田謙一郎氏は、2023年から2024年にかけて、テスラが目指す企業としての在り方が大きく変化したタイミングだと語る。

「テスラは2023年に180万台を納車しましたが、2024年は178万台と約1%減少してしまいました。この理由は、イーロン・マスクが年初に語っていたように、主力の『モデルY』や『モデル3』のモデルチェンジがなかったためです」

「しかしこれは、テスラがもはや自動車の販売台数を追求する企業ではなくなったということの示唆にもなり得ます。テスラはロボタクシー、自動運転、そして国家の安全保障にも関わる可能性のある人型ロボットやAIに注力しています。同時に、上海のメガファクトリーというエネルギー貯蔵システムの工場を拡張し、エネルギー事業も強化しています。そして現在、こうして得た事業収益をNVIDIAの最新GPUの大量購入に充てています」

テスラの決算発表でのコメントなどからはその多角化戦略が明確に示されていると前田氏は指摘する。今後は自動車事業を基盤に、NACSの充電ライセンス、FSD(フル・セルフ・ドライビング)のライセンス、ロボタクシー、AIコンピューター、そしてオプティマスといった多岐にわたる分野での事業展開を目指している。

このようなテスラの動向を見ていると、将来の自動車業界がどのように変容していくのかを示唆しているようだと前田氏は語る。

「テスラは自らの将来像に向けて、ロボタクシーを中心とし、それを支えるFSDによる自動運転、Dojo、そしてライドヘイリング用のアプリを並行して開発しています。同時に、アンボックスドプロセスやギガキャスティングといった製造技術も進化させています」

あらたな廉価モデルは今年春に登場する

いっぽうテスラの直近の動向としては、新型モデルYの全世界発売が挙げられるだろう。

「新型モデルYは、マイナーチェンジではありますが、テスラの新たなデザイン言語であるサイバーデザインが適用されたヘッドライトが特徴です。ポルシェ『マカン』と同程度の大きさなので、日本市場には少し大きいかもしれませんが、世界的には売れるでしょう。中国では受注が非常に好調で、発売後5日間で7万台を受注し、一部地域では受注を停止するほどです」

また既存車種とは別に、以前から噂のあった新たな廉価モデルの動きについて、前田氏は内情を説明する。

「当初は新工場のギガメキシコで、全く新しいプラットフォームで製造する予定でしたが、市場投入までの時間を短縮するため、現在のモデル3のプラットフォームと『サイバーキャブ』の特徴をベースに、デザイン言語を新しくした廉価版を開発しているようです」

「これはQ2の初め、つまり4月から5月頃に発表される可能性があります。おそらく、新しいロボタクシーのデザインをモデル3のプラットフォームに組み合わせた、3万ドル程度の車になるでしょう」

FSDとロボタクシー - 自動運転技術の進化

ロボタクシー事業への強い意欲を見せているイーロン・マスク氏は、今年中にもサービスを開始するという強気の計画を明らかにしている。

「2024年第4四半期の決算発表において、イーロン・マスクは2025年6月にテキサスのオースティンでアンスーパーバイズドFSDをリリースすると発表しました。アンスーパーバイズドFSDとは、監視なしの自動運転レベル4に相当する技術です。これをベースに、2026年中にはロボタクシーのサービスを開始する予定です」

テスラの自動運転技術FSDの最新バージョン13は、2024年後半から、ハードウェア4(HW4)搭載車や一部のハードウェア3(HW3)搭載車に展開され始めた。

「FSD13は日本ではまだリリースされていませんが、YouTubeにアップされているアメリカのユーザーの映像では、路上駐車している宅配のトラックを、対向車線の様子をうかがいながら、はみ出して追い越すなど、人間のような運転を実現しています」

「テスラはビジョン型AI(カメラベース)とエンドツーエンドのニューラルネットワークを活用し、自動運転を実現しようとしています。さらにFSDの学習に必要なDojoコンピューターを自社で開発し、開発を加速しています」

「テキサスのギガファクトリー南部分には、NVIDIAのGPUを5万基集めたCortexという施設を建設し、FSDのトレーニング強化を行っています。またイーロン・マスクは、テスラだけでなく、xAIが作るGrokにも注力しており、それぞれの会社でデータセンターを建設しています」

「イーロン・マスクは、AIチャットボットGrokをテスラにも搭載することを表明しました。これにより、車と会話しながら目的地などを設定できるようになり、ナイトライダーのような世界が実現するでしょう」

テスラのロボタクシー実現に向けた青写真

テスラは、2024年10月に開催した「We, Robot」というイベントで、ハンドルやアクセルを持たない完全自動運転を想定した新型車両「ロボタクシー/サイバーキャブ」と「ロボバン」を発表している。

「このイベントは、将来の交通社会が自動化されることを消費者に示すためのものでした。ロボタクシーのサービスを実現するためには、車両の対応だけでなく、アプリ、ワイヤレス充電、車室内の自動清掃機能なども必要になるでしょう。テスラは、自動車の自動運転だけでなく、ロボタクシーのサービスビジネス全体を考えています」


《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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