トライアンフが小排気量モダンクラシックの発表を明言、松本店オープンでCEO来日

ソニックモータースはカスタムにも積極的。松本店のオープンに合わせて制作したのは1940年のタイガー100をモチーフにしたスクランブラー900
  • ソニックモータースはカスタムにも積極的。松本店のオープンに合わせて制作したのは1940年のタイガー100をモチーフにしたスクランブラー900
  • トライアンフ松本&本国CEOインタビュー
  • ニック・ブロアーCEO(右)とポール・ストラウド氏COO (Chief Commercial Officer)が来日。トライアンフ松本のオープニングイベントに駆けつけた
  • トライアンフ松本&本国CEOインタビュー
  • 広々とした2階のカスタマーラウンジ
  • ソニックモータース代表の岩瀬利基氏。グループとしては世界でも上位のトライアンフ販売台数を誇る
  • トライアンフ松本。住所:〒399-0038 長野県松本市小屋南1-3−1。
  • 2階には様々なパーツやアクセサリー、ウエアを展示する

◆先進のアイデアとセンスで、バイクディーラーの概念を刷新

納車とバイクに乗ったままサービス入庫の受付機能を兼ねた「レセプション/ハンドオーバーベイ」を抜けて店内に入ると、広い車両展示エリアがあり、吹き抜けの階段を上った2階フロアには様々なウエアやアクセサリーを展示。さらに足を奥に進めるとバーカウンターとビリヤード台を備えた「プールバーエリア」が広がる。壁にはアーティストのアンドレア・カニシさんがトライアンフをモチーフに手がけたアートがかかり、モダンな雰囲気を醸している。

トライアンフ松本&本国CEOインタビュートライアンフ松本&本国CEOインタビュー

トライアンフ松本は6月16日にグランドオープンしたばかり。トライアンフのCIに準じたブラックを基調にした店舗で、とにかくゆとりのあるスペースづくりが印象的。それは駐車&駐輪スペースに始まり、白い壁のピットは清潔感と開放感に溢れている。またバイクを乗り入れることが可能なレセプションはとても広く、革張りのチェスターソファーも用意。カスタマーをもてなすための上質な空間が広がっている。

バイクに乗ったまま、店内に入ることのできる「レセプション/ハンドオーバーベイ」。チェスターソファーが雰囲気バイクに乗ったまま、店内に入ることのできる「レセプション/ハンドオーバーベイ」。チェスターソファーが雰囲気

今回はオープニングイベントだったためショールームでバイクの展示はなかったが、150名以上が飲食をしながら会談できるゆとりのあるスペースが印象的。2階のカスタマーラウンジも合わせてすべてにツーリングの帰りなどに立ち寄りたくなる居心地の良い空間が提供される。

ソニックモータースはトライアンフ東京、トライアンフ東京ベイに次ぐ、3店舗目のトライアンフ正規販売店としてトライアンフ松本をオープン。グループで考えると日本はもちろん世界でも大きな販売シェアを誇り、四輪ディーラーで培った高級感やもてなしをライダーに提供している。

2階には様々なパーツやアクセサリー、ウエアを展示する2階には様々なパーツやアクセサリー、ウエアを展示する

「今回は私の生まれ故郷である松本にトライアンフの正規販売店をオープンさせることができ嬉しく思います。私は幼少期からバイクが大好きで、高校、大学時代、海外に行ってもクルマよりも先にバイクに乗っていました。そして海外から戻り仕事をして15年ほどずっとバイクに乗りたいな、と思っていたんです。

トライアンフ東京をオープンする前にイギリスに行ったのですが、そこで、今日ここに来ていただいているニック・ブロアー氏(CEO)、ポール・ストラウド氏(COO)、会長のジョン・ブロアー氏と会って工場見学や会食をさせていただいたんです。もちろんビジネスとしては彼らがどういった経営方針なのかは大事ですが、一番惹かれたのは人柄でした。この人たちとなら長く一緒にビジネスをできると思ったんです。

ソニックモータース代表の岩瀬利基氏。グループとしては世界でも上位のトライアンフ販売台数を誇るソニックモータース代表の岩瀬利基氏。グループとしては世界でも上位のトライアンフ販売台数を誇る

そして今回、3店舗目のトライアンフ正規ディーラーを出すことができました。信州にいらした際にはトライアンフのお客様はもちろんですが、他ブランドの方にもちょっと面白いショップだから寄ってみようかな、となっていただけるような店舗を目指しました」とソニックモータース代表の岩瀬利基氏。

◆ニック・ブロアーCEOが歴史と展望を発表。小排気量のモダンクラシック発表のサプライズも!

そんなトライアンフ松本のグランドオープンには本社首脳陣も大きく注目し、期待もしている。今回のグランドオープンにはイギリスからニック・ブロアー氏(CEO)、ポール・ストラウド氏(COO)、マルセロ・シルバ氏(アジアパシフィック責任者)も駆けつけた。

ニック・ブロアーCEO(右)とポール・ストラウド氏COO (Chief Commercial Officer)が来日。トライアンフ松本のオープニングイベントに駆けつけたニック・ブロアーCEO(右)とポール・ストラウド氏COO (Chief Commercial Officer)が来日。トライアンフ松本のオープニングイベントに駆けつけた

「2017年にオープンしたトライアンフ東京のエントランスは今でも目に焼き付いています。ソニックモーターズのプロフェッショナリズムと、トシさんの顧客の満足度や利便性を優先した考え方に尊敬をしております。

いま、未来に向けて、私たちのブランドストーリーは次の章に向かって進んでいます。新しいカテゴリーに参入し、新しいベンチマークを設定します。そのひとつは、バジャージとのパートナーシップにより開発された、小排気量モダンクラシックです。それはもう間もなく発表となり、詳細が明らかになります。

また、新カテゴリーとなるモトクロッサーとエンデュランサーの発売日も、間もなく発表します。このモデルでは新しいファクトリーレーシングチームが2024年の世界選手権に参戦する予定です」とニック・ブロアーCEO。こういった展望の他、ブランドの歴史や背景を丁寧に説明し、小排気量モダンクラシックのイメージPVも披露してくれた。

◆世界中で大成長を続けるトライアンフ

「トライアンフ松本のオープンにより、日本のトライアンフ正規販売店は31店舗となり、全世界のトライアンフ正規販売店は、800店舗となりました。2016年から正規販売店ネットワーク全体で、トライアンフワールドブラックと呼ばれる新しい店舗デザインへの移行を進めてきました。そして、2016年度以降、2023年5月末までのトライアンフの販売台数は、驚異的な伸びを見せています。

夕方からスタートしたオープニングイベント。来場者を飽きさせないコンテンツを常に用意して岩瀬氏が皆をもてなす夕方からスタートしたオープニングイベント。来場者を飽きさせないコンテンツを常に用意して岩瀬氏が皆をもてなす

その成長はまだ続いており、5月末までの販売台数は2022年と比較して+483台と、15%の伸びを記録しています。 過去3年間、500cc以上の市場は25%成長しました。トライアンフは市場内で3番目に高い成長率である30%を達成。これはハーレーダビッドソンより6%、ドゥカティより16%、BMWより32%高い数字です。

この6月以降の1年間で、トライアンフは6車種以上の新型車両の発売と、6つの既存モデルのメジャーアップデートを予定しています。この1年は非常に忙しく、エキサイティングな年となりますね。その第一弾が6月27日に発表されるモデルです。これらのニューモデルの発売と、日本の素晴らしい正規販売店により、2025年末には日本で年間6000台以上のモーターサイクルを販売し、さらに多くのお客様をトライアンフにお迎えできることを楽しみにしています。

そして、この新しいトライアンフストアである、松本店を気に入っていただけることを願っています。トシさん、松本にも素晴らしいトライアンフストアを作っていただき感謝します」とポール・ストラウド氏(COO)は語った。

ちなみに2022年のトライアンフの日本における販売台数は3397台。本国の日本への期待と目標がいかに大きいかがよくわかる。

◆小排気量モダンクラックが6月27日に発表!?

次世代のバイクディーラーとも言えるトライアンフ松本の新しさや美しさにも驚いたが、何よりもこの場所にニック氏とポール氏が登場し、今後の展望まで発表したことに驚かされた。

ニック・ブロアーCEOは、2024年は新たなステージに行くことを公表。これまでにないカテゴリー参入に期待が募るニック・ブロアーCEOは、2024年は新たなステージに行くことを公表。これまでにないカテゴリー参入に期待が募る

小排気量モダンクラシックは、これまでのトライアンフでもっとも日本の市場にフィットするし、トライアンフがこうしてライダーを育んでいくカテゴリーに参入してくることは、日本メーカーにとっては驚異だが、日本のバイク文化を発展させていきたいと思っている僕としてはとても楽しみ。既存のモダンクラシック路線のクオリティが担保されていることに期待しつつ、楽しみに待ちたい。

また、小排気量モダンクラックの登場で、トライアンフディーラーに訪れる客層もガラリと変わるはず。良い意味でブランドの敷居が下がり、既存の高級路線はさらに憧れの存在として輝くだろう。この1年で6車種以上の新型車両の発表するトライアンフの勢いに注目したい。

《小川勤》

モーターサイクルジャーナリスト 小川勤

モーターサイクルジャーナリスト。1974年東京生まれ。1996年にエイ出版社に入社。2013年に同社発刊の2輪専門誌『ライダースクラブ』の編集長に就任し、様々なバイク誌の編集長を兼任。2020年に退社。以後、2輪メディア立ち上げに関わり、現在は『webミリオーレ』のディレクターを担当しつつ、フリーランスとして2輪媒体を中心に執筆を行っている。またレースも好きで、鈴鹿4耐、菅生6耐、もて耐などにも多く参戦。現在もサーキット走行会の先導を務める。

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