『レヴォーグ STIスポーツ』の足を購入後にアップデートできる!スバルの新戦略「eチューン」とは

SUBARU Active Damper e-Tune(eチューン)が施されたスバル レヴォーグ STIスポーツ
  • SUBARU Active Damper e-Tune(eチューン)が施されたスバル レヴォーグ STIスポーツ
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  • eチューンを施した車両に貼られるステッカー。バネの形状、ダンパー内のオイル、回路の意匠を取り入れたデザイン。端にはZFのロゴも
  • eチューンを担当するスバル 部品用品本部 アクセサリー企画部の宮下裕次氏
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スバルは、購入後の車両の電子制御ダンパー減衰力を変更することができるアップデートサービス「SUBARU Active Damper e-Tune(スバル・アクティブダンパー・eチューン)」を開始した。ソフトウェアアップデートによる「新たな用品の売り方」の提案で、スバルは「新車購入後、さらに車を進化させることができる新な愉しさを提供する」としている。

◆『レヴォーグ STIスポーツ』の足をアップデート

SUBARU Active Damper e-Tune(eチューン)が施されたスバル レヴォーグ STIスポーツSUBARU Active Damper e-Tune(eチューン)が施されたスバル レヴォーグ STIスポーツ

「eチューン」は、現行『レヴォーグ STIスポーツ』の各グレード(A型、B型)を対象とした電子制御ダンパーのアップデートプログラム。アップデートの方法は、車両診断システムであるOBD-II端子に診断機器を接続して、車載の制御コンピューターのプログラミングを書き替えるというもの。レヴォーグのダンパー減衰力はダンパー内のオリフィス(極小のオイル流路)を調整して行っているが、その部分の制御を変更しようというものだ。

レヴォーグ STIスポーツの電子制御ダンパー減衰力はソフト側がコンフォート、中間となるノーマル、ハード側がスポーツという3段に調整できる。eチューンはこのうちコンフォートの減衰力をスタンダード比約10%ダウン、スポーツの減衰力をスタンダード比約20%アップするというもの。ノーマルの減衰力は変更しない。また、車両側モニターの表示はコンフォート、ノーマル、スポーツのままで変化はない。

eチューンを施した車両に貼られるステッカー。バネの形状、ダンパー内のオイル、回路の意匠を取り入れたデザイン。端にはZFのロゴもeチューンを施した車両に貼られるステッカー。バネの形状、ダンパー内のオイル、回路の意匠を取り入れたデザイン。端にはZFのロゴも

eチューンが施されたクルマについては、専用のエンブレムが装着される。この専用エンブレムには、電子制御サスペンションシステムのサプライヤーであるZFのロゴも添えられている。スバルが提示しているメーカー希望小売価格は3万3880円(エンブレム代を含む)で、施工には別途工賃が必要。施工はスバル特約店、いわゆるディーラーでのみ行われる。工賃は特約店によって異なるが、総額でおおよそ4万円に収まるのことだ。万が一、このセッティング気に入らない場合は、スタンダード状態に戻すこともできる。

面白いのは、このeチューンは用品部などが提案した商品ではなく、車両評価を行う部門から「こんなことができるけど、商品化できないか?」という打診があって実現した取り組みだということだ。これを受けた用品関係の部門では、スバル車のオーナーは硬めの足回りを好む傾向にあるため、「これはいける」と判断したという。

◆スバル車好きにはたまらない?「スポーツ」の足

「スポーツ」時の減衰力をスタンダード比約20%アップする(表示はそのまま)「スポーツ」時の減衰力をスタンダード比約20%アップする(表示はそのまま)

スタンダード状態のレヴォーグ STIスポーツで往路約100kmを走行し、復路でeチューンをチェックした。スタンダード状態のスポーツモードでも十分に硬い印象のあるレヴォーグ STIスポーツだが、eチューンが施されたスポーツモードはさらに硬く、ビシッとした印象。コーナーでステアリングを切って、クルマが向きを変えていく様子もスタンダード状態よりもシャープになる。コーナリング中もロールが抑えられていて、走り好きのドライバーなら「おおっ、よくなったなあ」と感じることができるはず。

スポーツ状態ではちょっと乗り心地のよさが落ちる傾向にある。とくに一般道を走るような40~60km/h程度まで速度が低くなると、突き上げ感が強まる印象。しかし、これは対処が可能だ。レヴォーグにはドライブモードの切り替えがあるのだから、乗り心地が気になるときはノーマルやコンフォートに切り替えればいい。

SUBARU Active Damper e-Tune(eチューン)が施されたスバル レヴォーグ STIスポーツSUBARU Active Damper e-Tune(eチューン)が施されたスバル レヴォーグ STIスポーツ

一方、コンフォートモードはスポーツモードほどの変化は感じない。柔らかくなったとはいえ、スタンダード状態からの変化度は少ないと言える。しかし、あまり柔らかくしすぎることもできないのが現実だ。現代のクルマはレーンキープやレーンチェンジアシストなどが装着される。ましてやレヴォーグは高性能なアイサイトを採用している。ダンパー減衰力をむやみに変更して、アイサイトによる車両制御が正確に行えなくなったら、危険な状態に陥る可能性すらある。eチューンの開発に当たっては、アイサイトの作動に対する影響もチェックされているとのことなので、安全性は担保されているといえる。

◆電子制御ダンパーのeチューン、その先は…?

現在、このアップデートサービスが可能なのはレヴォーグ STIスポーツ(A型、B型)のダンパー減衰力についてのみだが、電子制御サスペンションであればほかのモデルでも理論的にはアップデートは可能。さらにその先を考えれば、サスペンション以外でも電子制御されている部分についてはアップデートは可能なので、この最初の一歩となるアップデートサービスは非常に重要な出来事だと言える。

SUBARU Active Damper e-Tune(eチューン)が施されたスバル レヴォーグ STIスポーツSUBARU Active Damper e-Tune(eチューン)が施されたスバル レヴォーグ STIスポーツ
《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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