【三菱 eKクロスEV 新型試乗】軽EVで約600kmを走ってわかった、恐ろしく高いコスパ…諸星陽一

エイブル白馬五竜近くにて。白馬はきれいなわき水が豊富だ
  • エイブル白馬五竜近くにて。白馬はきれいなわき水が豊富だ
  • 白馬駅到着
  • 白馬村のペンション「ミーティア」。白馬村はEV充電設備を備えた宿泊施設がたくさんある
  • 上信越自動車道の東部湯の丸SAの急速充電器。屋根もあって理想的な環境
  • 三菱 eKクロスEV
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三菱『eKクロスEV』に乗って、長野県白馬村で開催された日本EVクラブのジャパンEVラリーに参加した。この往復での様子をメインにインプレッションをお届けする。

韓国製や中国製のEVが日本に上陸するようになり話題となっているが、そんなクルマも絶対に太刀打ちできないのが軽自動車のEV、つまり現在では日産『サクラ』と三菱eKクロスEVだろう。軽自動車という限られたサイズのなかにシステムを組み込み、必要なユーティリティを確保するというパッケージングの妙は日本の自動車メーカーでなければできない匠の技といえる。

往路は271km、復路は293kmを軽EVで走る

白馬村のペンション「ミーティア」。白馬村はEV充電設備を備えた宿泊施設がたくさんある白馬村のペンション「ミーティア」。白馬村はEV充電設備を備えた宿泊施設がたくさんある

白馬への往復だが、往路は高速道路が205km、一般道が66kmの合計271km。復路は一般道のみで293kmという距離であった。いずれも満充電でスタートし、2回充電で到達した。往路のバッテリー残量は1回充電時が27%、2回目が14%で計41%。復路は1回目が40%で2回目が19%の計59%。

充電器は都合のいい場所に設置されているわけではないので、このような結果となったが、充電器の数が増え効率のいい地点での充電ができるようになれば、さらに安心して距離を伸ばすことができるだろう。急速充電時の充電量は27%残でも14%残でも10kwh(30分)だったので、ほぼカタログ値どおりを実現しているといえる。

また、ビックリしたのは出発前に77%の状態から急速充電した際に、100%まで充電できたことだ。急速充電で100%に達することは非常にまれで、これはエアコンの冷媒をバッテリーの冷却にも使うなどバッテリーの冷却マネージメントがうまくいっていることの証拠といえるだろう。

上信越自動車道の東部湯の丸SAの急速充電器。屋根もあって理想的な環境上信越自動車道の東部湯の丸SAの急速充電器。屋根もあって理想的な環境

早く走るのではなく、バッテリーを使わないことを重視

往路は関越自動車道、上信越自動車道を使っての移動であった。走行モードはエコ、走行レンジはDだ。早く到着することよりも、バッテリーを使わないことを重視し80km/hでもっとも左車線を走行、必要に応じて追い越しは行っている。エアコンは一般道を含めて常時オンである。ACCにまかせて走っていればとくに問題なく80km/h巡航ができる。登坂車線が現れるような場所でも、登坂車線に移動することなく走行が可能だ。

上信越自動車道は途中から下り勾配となるが、下り勾配でACC使用、Dレンジ走行をしていると、ブレーキランプが頻繁に点灯する。eKクロスEVはメーター内にクルマの形をしたモニターがあり、そのモニターでブレーキランプの点灯状態が確認できる。ためしにBレンジにしてみるとブレーキランプの点灯はほとんどなくなり、エネルギー回生量も増えた。高速道路、ACC、下り勾配という状況ではBレンジ走行が無駄なく走ることができるようだ。

一般道で興味深いデータが得られたのは碓氷バイパス越え。軽井沢方面からの碓氷バイパスは上り勾配がわずか3kmであるにも関わらず、頂上を過ぎてからの下り勾配は15km以上(途中一部上り勾配もある)なので、上り勾配で使ってしまったエネルギーを十分に回収できた。ちなみに上りで使ったのは3%だったが、下り勾配では5%を回収している。以前、PHEVのレクサス『NX450h+』で碓氷峠の旧道を下ったときにはほとんどエネルギー回収できなかった。旧道はバイパスよりも勾配が弱かったのが理由だろう。

三菱 eKクロスEV三菱 eKクロスEV

恐ろしくコストパフォーマンスが高いからこそ

eKクロスEVはターボエンジンのeKクロスと同等の最高出力を得ているが、最大トルクは2倍近くとなる195Nm。この最大トルクは軽自動車とは思えないほどの力強い加速を実現。トルクフィールとしては1.5リットルクラスのファミリーカー程度のものがあり、大人4人が乗っても発進で遅れをとるようなこともない。

乗り心地やハンドリングについては、基本的には軽自動車的ではあるのだが、バッテリーをフロア下に搭載したことで重心が下がり、それを功を奏している印象。ドライバーだけ、もしくはドライバーと助手席の2人乗りでは必要十分なハンドリング&乗り心地を確保している。さすがに4人乗りともなると、サスペンションが根を上げて突き上げが大きくなるが、4人乗りで長距離を走るタイプのクルマではないので、これはよしとできる。

三菱 eKクロスEV三菱 eKクロスEV

eKクロスEVはユーティリティ面ではeKクロスとほぼ同一の性能を確保している。カタログデータを見ると長距離には向かないようなイメージがあるが、実際に使ってみるとかなりの長距離を移動することが楽にできることがわかった。日本でのクルマの使われ方を考えれば、パッケージング、航続距離ともに十分な性能を有しているといえる。クルマの価格はそれなりに高価ではあるが、現状では補助金によってそれも補填されること考えると、恐ろしくコストパフォーマンスが高いモデルであると言っていい。

FFモデルのみしか用意されず、4WDがないのはちょと残念な部分。日本は降雪地域であり、eKクロスEVのような軽自動車のEVが欲しいユーザーは、ガソリンスタンド過疎地域もまた降雪地帯に住んでいることも多い。なにも本格的な4WDである必要はなく、いわゆる生活四駆レベルの微弱出力のリヤモーター付きモデルがないと、困る人も多いだろう。

三菱 eKクロスEV。白馬駅にて三菱 eKクロスEV。白馬駅にて

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★★(降雪地帯を除く)

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

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