トヨタとホンダ、足元の生産計画見通せず---長引く部品不足で[新聞ウォッチ]

トヨタ・ヴォクシー新型
  • トヨタ・ヴォクシー新型
  • トヨタ・ノア新型
  • ホンダ埼玉寄居工場
  • 死亡したウクライナ兵士の葬儀

2011年3月11日14時46分のあの東日本大震災から11年を迎えた。全国で関連死を含め2万2000人を超える尊い命が失われたほか、避難生活を余儀なくされている人は、福島の被災者を中心に、なお3万8139人に上るそうだ。

きょうの各紙も「あれから11年……」として震災関連の特集記事を数ページにわたって掲載。このうち、朝日、毎日、東京が1面トップなどで「時の経過とともに震災の経験を未来につなげる語り部たちは年を重ねていく。教訓をどう継承していくかはどの災害にも共通する課題だ」などと取り上げている。

一方で、ロシアによるウクライナへの侵攻開始から2週間となったが、解決への見通しは立っていないと、きょうの読売が1面トップで報じている。両国の外相が、トルコで侵攻後初めての会談に臨んだが、対話継続では一致したものの、全面的な停戦に向けて進展は得られなかったという。一方、ロシア軍は、南東部マリウポリで住民の退避ルートや病院を砲撃するなど各地で攻撃を続け、民間人の被害も増えているとも伝えている。

見通しが立っていないといえば、自動車各社の生産計画も同じだ。朝日によると、トヨタ自動車は4~6月の世界生産についてこれまでの計画を引き下げる方針だと報じている。豊田章男社長が春闘の労使交渉の場でも「足元の生産計画を現実に即したものに見直す」と表明。「4月から6月を『意思ある踊り場』として、安全・品質を最優先に、仕入れ先のみなさまの状況を踏まえた基準となる計画をつくり、健全な職場環境を整えたい」と語ったそうだ。

また、日経には、トヨタの2工場が9~10日にかけ、一時的に稼働を止めていたとも伝えている。2月に部品会社が被ったサイバー攻撃の間接的な影響を受けたためで、約3000台の生産に影響が出たという。システムの復旧作業中に部品の受発注で滞りが生じ、11日以降は通常稼働に戻る予定だとしている。

生産調整はホンダでも3月の国内での完成車生産台数が当初計画比で約1割減る見通しになるという。新型コロナウイルスの感染拡大による部品不足が長引いているためで、生産水準は2月と同程度にとどまるもようだ。

自動車の生産現場は、11年前の震災直後の半導体部品や電力不足などの影響で減産した当時よりも混乱しているようで、正常化する日が来るのはほど遠いとみられる。

2022年3月11日付

●ウクライナ、露侵攻2週間停戦遠く、外相会議進展なし(読売・1面)

●東日本大震災11年、細る支援継続が課題(朝日・1面)

●トヨタ、世界生産引き下げ、4~6月、「現実に即したものに」(朝日・11面)

●日商会頭に小林氏、商社出身初三菱商事会長(毎日・7面)

●ホンダ、埼玉などで減産見込み(東京・11面)

●日経平均、一時1000円高、原油急落、景気懸念和らぐ(日経・9面)

●トヨタ2工場、再び停止、サイバー攻撃余波、9-10日、3000台影響(日経・15面)

●復興の裾野広げる道路網、三陸道全通、人・モノ動く(日経・23面)

《福田俊之》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集